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旭川の平和通り買物公園を訪れて、いろいろと気づく [都市デザイン]

 旭川の平和通り買物公園は日本では唯一、道路を歩行者専用空間へとシフトさせることに成功した事例である。そして、結構成功している。それにも関わらず、なぜ、旭川だけで実現できて他の都市は真似をしないのであろうか。これは、ちょっとした私の疑問であった。
 さて、ただ旭川を訪れ、その理由がちょっと見えてきたような気がする。旭川は圧倒的に道路空間が占める割合が高い。これだけ道路だらけであれば、一つぐらい歩行者占用空間にしても他の道路が渋滞をするようなことはない。というか、ほとんど外国のように道路の幅も広い。このような都市空間で、人口が30万人近くあれば、それは道路を一つつぶして歩行者専用の空間を創り上げるのは、むしろ理に適っているし正解である。その使い方はうまくないとは思う。歩行者を楽しませるような店舗デザインはされていないし、歩行者との相性のいいテナントが沿道に入っている訳では必ずしもない。また、自動車の動線や自転車の動線がうまく形成されていない印象を受ける。とはいえ、空間というハードとしての基盤が整備されていることは非常に評価される。
 さて、それじゃあ日本では旭川以外はまったくつくるポテンシャルがないのか、というともちろんそんなことはない。旭川は極めてその条件を満たしているが、北海道の人口15万人以上の都市であれば、まずうまくいくだろうと思われる。函館のように比較的、早めに整備された都市は多少、道路が渋滞する可能性もあるし、路面電車との共存なども考えなくてはいけないが、それでも本州の同規模の都市よりは道路率は高い。冬とかは気温が寒くなるので、人が利用しないのではないか、という指摘を受けるかもしれないが、同じ事は北欧のコペンハーゲンがストロイエを整備した時にも言われた。むしろ、そのような空間があることで、冬でも人々は都心に出てきたりするようになるのである。
 北海道以外はどうであろうか。やはり、ポイントは道路率と道路幅になるかな、と思われる。道路率が高く、道路幅が広いような都市ほど、買物公園のような歩行者専用空間を街中に整備すべきであろう。また、旭川は買物公園のアンカーにあのイオンを立地している。人々を都心から郊外へとシフトさせていた元凶でもあるイオンが都心のど真ん中に立地して、都心の活性化に寄与しているのである。まあ、旭川の場合はイオンは郊外にも立地しているので、素直には肯定的には評価しにくいところもあるが、それでも都心に立地したことで、買物公園の歩行者数は増えている。都心を維持させ、強化させていくという点では評価できるであろう。自動車道路を歩行者専用空間へとシフトさせようと考える場合は、旭川のように集客力の高い商業施設をしっかりと、その空間において立地させるような工夫は是非とも必要であると思われる。

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