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琴電に乗って瓦町から金毘羅山にまで行き、地域における琴電の価値を確認する [都市デザイン]

琴電に乗って瓦町から琴平まで行く。料金は610円である。瓦町のターミナルはとても錯綜している。ホームは5番ぐらいまである。この瓦町には4路線が入っている。琴電利用者は、皆、瓦町を通り抜けなくてはいけないような仕組みになっている。そして、瓦町駅の上には天満屋のデパートが建っている。なかなか商売上手の印象を受ける。

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(瓦町のホームに停車する琴電)

さて、私が乗った電車は11時35分に出発する。ちょっとした小旅行気分だ。線路は単線である。栗林公園、仏生山などを過ぎ、空港道り、というまったく叙情が感じられない駅名の前後では、市街地を高架で通り抜けたりして、結構、ローカル線ぽくない。ただし、駅では車掌か運転手が降りた乗客から切符を回収したりして、そういうところは牧歌的だ。まるでバスのようで、この時間のロスはもったいないなと思わずにはいられない。綾川という駅では、いきなり田んぼの仲に巨大なイオン・ショッピング・モールが姿を現した。琴電の踏切が下りていた道路は、結構、渋滞をしていた。それにしても、香川県の農村地帯、そして、茨城県の下妻周辺の平面な農村地帯ほどイオンが合う光景もそうそうない。それは地域のアイデンティティとか、歴史とかに関心を持たない人達、消費に対するどん欲さがつくりあげる光景であるともいえる。一方で、そういう風景が示唆しているのは、そのような、守るに値するようなアイデンティティや歴史がその地域にはないことでもある。いや、これはもちろん皮肉として言っているのだが、最近、本当、そうであってもいいかなとも思っている自分もいる。原発でさえ止められない国民である私が、イオンの景観破壊、地域性の破壊に目くじらを立てていることもおかしい話だ。原発に比べれば、イオンの方がよほど地域に与える害は少ないだろう。

綾川を過ぎると、周辺の景観は田園的豊かさを覚えるようなものになってくる。ため池も多く見られる。香川県は降雨量が少ないので、ため池を多く整備したのだが、それらの多くは幾つかの香川県の自治体が市街地調整区域を外してから、どんどんと駐車場やマンション、そしてショッピング・センターへと変貌していった。ただ、さすがに高松から電車で45分ほど走ると、一昔前の香川県的な田園を彷彿させる景観と出会えることが今でもできることを知り、どこかホッとした気分になる。

榎井からは目の前に巨大なる緑のお椀をさかさまにしたような形状の山が迫る。電車は、この山に向かって進んでいく。さて、琴平にはJRも走っていた。終点間際になってJRと立体交差する。終点には瓦町の天満屋のように巨大な旅館ホテルが数軒、建っている。これもおそらく琴電の経営によるものなのだろうか。琴参閣という名称のホテルで中四国最大の観光旅館で1200名が収容できるそうだ。

金毘羅山のことは、また別に整理したいと思うが、琴電の経営状況等興味深い。いつか機会があれば調べてみたいものだ。四国の県庁所在地は徳島を除くと、私鉄が結構、充実している。この私鉄が存在することによって、人々の生活は豊かになっている。少なくとも、この私鉄沿線の人達は、自動車の代替交通手段を有している。この有り難みは人々が、自覚しているより遙かに大きなものがあると思うのだ。

帰りは、JRに乗って高松まで戻った。JRの方が早く着くだろうと勝手に考えての判断だったのだが、琴電の方が早かった。料金も琴電の方が安くて、大失敗だ。そういうことを考えても、琴電が存在することは、この地方にとってとても素晴らしいことなのではないかと思う次第である。

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(高松築港のホームに停まっている琴電)

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(改札がない駅では、車掌もしくは運転手が切符を受け取る。なんか一昔前のシステムという感じだ)

タグ:琴電
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