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セブン・イヤーズ・イン・チベット [映画批評]

 ブラット・ピット主演の「セブン・イヤーズ・イン・チベット」。チベットに訪れた後、観たのは幸いであったかもしれない。というのは、映画でのチベットはもちろん時代設定が第2次世界大戦中ということもあったからかもしれないが、とても美しく描かれているのに比して、現在のチベットというか、特にラサは中国化が進んでいるために、映像の美しさからはかけ離れてしまっているからだ。この映画を観て、そのような美しい景観が観られるかと期待してラサを訪れたら、随分と落胆したであろう。とはいえ、現在でもポタラ宮の存在感は特筆すべきものがあると思われる。この映画からも感じたことは、ポタラ宮に毛沢東のポスターは似合わない。というか、ポタラ宮に漢字は似合わないということだ。ラサを訪れた時にも感じたが、この映画を通じて、そのことを改めて確認する。それは、寿司にケチャップをつけたような違和感を覚えてしまうのである。
 さて、映画の方であるが、ブラット・ピットの演技が素晴らしい。協調性がないが、根はいい奴というキャラクターを演じる時こそ、ピットは特別な魅力を発すると思われる。永遠の少年、という大人キャラを演じるとピットの右に出るものは少ない。
 映画としても楽しめるが、中国によるチベット侵略の暴力の歴史を知るきっかけとしても社会的にも意義がある映画であると言えるであろう。この映画を観ると、ダライ・ラマに親近感を覚える。エンタテイメントとしてだけでなく、社会的にも文学的にも価値のある映画であると思われる。


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  • 出版社/メーカー: 角川書店
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