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福島産牛肉を鹿児島産牛肉と偽の表示をして販売した店にみる東日本と西日本の危機意識の差 [原発問題]

 大阪の方で福島産牛肉を鹿児島産牛肉と偽の表示をして販売した店があったそうだ。まあ、こういうことをする人は必ず出てくるから、それを阻止することは不可能に近いとも思うのだが、それでも、こういうことは東日本では大変しにくいと思うのである。現在でも福島第一原発の4号機がどうなるか、地震が起きるたびに心配している。そのような危機と隣り合わせで日々、生活していると、目先の利益のために、偽表示で福島産牛肉を捌こうなどとはなかなか思いにくい。
 しかし、西日本では別である。特に、大飯原発を抱える関西電力管内では、どうもそのような気の緩み、というか、どうせ他人事と無意識に捉えてしまっている人が多いように感じる。これは、非難をしている訳ではまったくなく、まあ、意識として福島の事故は対岸の火事なんだろう。そうでなければ、大飯原発の再稼働などはもっと反対する人が多く出ている筈である。津波の被害の復興も、東日本とは違い、西日本では積極的に取り組んでくれていて、多くの被災者は大変助かったと思われるのだが、7月くらいに関西地方にシンポジウムに行って、復興計画を語る人達の明るさに、強い違和感を覚えた。というのは、東京で生活していると原発がどうなるか心配で、とても復興計画を検討するような心のゆとりは全くなかったからである。
 そして、それはそれで、状況が違うからだし致し方ないことだと思っていたのだが、まあ、そういう気軽さは、今回のような福島産偽表示事件を起こす社会背景に繋がっていると思われるのである。こんなことをしても、まあ大したことないだろう、ぐらいに思っている人が西日本には多いんじゃあないのだろうか。
 いわき市などでは、本当に食の安全をいかに確保するかというのは切実な問題なので、このような流通側が信頼を損なうことをしたら、もう生きてはいけないぐらいの状況になっていると思う。人々の信頼こそが、この放射能汚染地区で生活していくうえでの絶対的最低条件である。そして、東京ぐらいになると、もっと脳天気になってしまうが、しかし、この信頼をベースで社会が営まれているという点においての理解は、大阪よりもしっかりしているのではないだろうか。
 そして、東京電力は原発事故の状況をしっかりと真実を伝えるようにしてもらいたい。調査委員会で、いたずらに無責任論を主張する東京電力をみていると、この組織は本当にもう駄目かもしれないと思ってしまうのだ。信頼を取り戻すことが何より必要な時に、なぜ、相変わらず、責任転嫁をしようと考えられるのか。その闇は私の想像力よりも暗くて深くて、何が何だか分からない。そして、このような絶望的な気持ちを抱かせた東京電力は、今のような対応ではなく、事故は取り返せないが、それをしっかりと反省して、未来に歩む姿勢を見せて欲しかった。ちょっと、肉屋の話から東京電力の話へと飛んでしまったが、根っこの問題は通底していると思われるのである。

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