『就活のバカヤロー』 [書評]
石渡嶺司、大沢仁の『就活のバカヤロー』を読む。「就活」をめぐる学生、大学、就職情報会社、企業の不毛なる愚行を、取材から明らかにしていく。特に、インターンがいかに無駄かということを分かりやすく説明していることは有り難い。インターンを送り出す側、受け入れる側両方を経験し、それがいかに無駄な茶番であるかを身をもって知っていたのだが、それを包括的に分析、整理してくれている。「就活」が気持ち悪いという指摘、そして、「就活」をめぐる4者がどれも主体性を持って動いていないという指摘は、傾聴に値する。惜しむらくは学生が売り手市場であった2年前にまとめられたので、現在の第二の就職氷河期には当てはまらない点も多いことである。とはいえ、就活の馬鹿らしさを理解するうえでは有益な本であると思う。