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ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習 [映画批評]

ドイツの大学の同僚が勧めたのでDVDを購入してみたのだが、滅茶苦茶面白くて、久しぶりに大笑いをすることができた。大傑作である。主人公はカザフスタンのテレビレポーターに扮して、カザフスタンにアメリカ文化を紹介するための純粋なるドキュメンタリーであると伝えて、普通のアメリカ人達に取材をするのだが、最初はカザフスタンの文化の異常さに笑っているのに、徐々にアメリカという国の異常さがじわじわと映像を通じて伝わってきて、薄ら寒いものを感じてくる。映画にてプロの俳優は一桁の数しか出演していなく、他の出演者達は皆、映像を公表しても訴えないとのサインをさせられたうえで取材に協力するのだが、その後、公開されると多くの出演者からプロデューサーは訴訟される。しかし、訴訟したくなる気持ちは分からなくもない。この映画に出てしまったせいで、その後の人生に大きなダメージを受けてしまった人は少なくないと思われるからである。特に、本物のカザフスタンのテレビレポーターだと誤解して、テレビの生番組に出演させたプロデューサーはそれが原因で首になってしまったそうだ。ちょっと同情する。まあ、アメリカの偽善性という弱さを徹底的に突いたという点は、相当シュールで面白いが、これが面白いと思うのは、アメリカが巨大権力を有した国家だからであろう。威張っているものをコケにするのは、笑いの基本だからだ。同じことを例えばスリランカでやってもあまり面白くないと思われる。ちなみに、この映画でカザフスタンの村として撮影されているのはルーマニアで、カザフスタンは基本的にまったくこの映画と関係していない。映画で使われる文字もカザフ語とはまったく関係ない。まあ、しかし、こういうコンセプトの映画に騙されてしまうある意味でナイーブな人が多いのもアメリカという国の特徴で、そういう点ではアメリカの異常さ、不気味さを感じるのと同時に、アメリカの単純でお人好しという可愛い点も見えてこない訳ではない。どちらにしても、アメリカという国を知る上ではなかなか参考になる映画だと思う。まあ、そんなことよりコメディ映画として傑作。観て損はないであろう。

ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習 <完全ノーカット版> [DVD]

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  • 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
  • メディア: DVD


タグ:ボラット
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