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ケーン・トード(オオヒキガエル)の輸入という愚策で、オーストラリアの生態系は深刻な状況に陥っている [サステイナブルな問題]

クリスタル・ウォーターは夜にもなると、蛙達の大合唱でうるさいくらいである。なかなか可愛い蛙たちだが、その中に、20センチは余裕である巨大で、まったく可愛くない顔立ちで色も茶色で汚いヒキガエルがいる。このヒキガエルは、たんに可愛くないだけでなく、それを食べてしまったワニやディンゴなどを殺すほどの猛毒を持っている。追い込まれると、目の後ろの腺から毒液を飛び出させ、これが人間の目に入ると失明する危険もある。このヒキガエルは私が泊まっているキャビンのトイレにもよくいたりして、ちょっと嫌だが、下手に威嚇すると毒液を出しそうなので無視をして用を足している。このヒキガエルはケーン・トードという。

さて、このケーン・トードはそもそも、サトウキビ畑の害虫駆除のために政策的に1935年に南米から輸入してきたのである。なんでも女性の研究者の提案だったそうで、マックス・リンデガーは忌々しそうにその名前を言っていたが、その名は忘れてしまった。このサトウキビ畑の害虫を駆除するという目的は、害虫は昼間に活動し、ヒキガエルは夜に活動することもあって、まったく効果がなかったそうだが、天敵のいないオーストラリアに放されたこともあって、どんどんと増殖していき、その生息域はクイーンズランド州からニュー・サウス・ウェールス州、ノーザン・テリトリーにまで達している。年間で約40キロメートルのスピードでその生息域を拡大させているようである。

天敵はいないが、人間は結構、頑張ってやっつけようと努力をしているようだ。このケーン・トードをゴルフ・ボールの代わりに打つ、といった残酷なゲームを流行らせようとしている動きもあるようだが、一番の方法は、ビニール袋でつかんで冷凍庫に入れてしまうということだそうだ。ちょっと、慈悲心がある人は、最初冷蔵庫に入れて冬眠させてから、冷凍庫に入れるようだ。その繁殖力を考えると、焼け石に水のような気もしないではないが、そもそも、この災難をもたらしたのは蛙のせいではなくて、愚策のせいである。ちょっとした愚策というか政策の失敗が、あとあと大きく禍根を残すこともある。麻生首相のロシア対談なんかも、そういう類のことになるかもしれない。やはり、しっかりとした政治家を選び、しっかりとした政策を立てて、将来を切り開いていくことが必要であろう。便所にどこ吹く風という表情で居座っている蛙を無視しつつ、そう考えた次第である。


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