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クリスタル・ウォーターにて暗闇を歩く [サステイナブルな問題]

オーストラリアのクリスタル・ウォーターというパーマカルチャー村に来ている。そこで、このクリスタル・ウォーターの計画者の一人であるマックス・リンデガー引率のもと、夜、学生達と暗闇の中を歩くという経験をする。懐中電灯を途中で消し、クリスタル・ウォーターにある森を横切り、川のほとりまでけもの道を歩く。満天の星空であったが、木々がそれらの光を遮断しているため、何も見えない。前を歩く人間の後をついて行くのだが、1メートルも前でないのに見えない。必然的に視覚以外の聴覚、臭覚、触覚が研ぎ澄まされる。特に、足が何を踏んでいるのか、道を踏み外していないかどうかを確認するために一歩、一歩、足を踏み出すたびに緊張する。このクリスタル・ウォーターの森には光蘚のようなものがあり、緑と紫色を混ぜたような色を発光している。非現実的な空間を演出するが、このか細い光が、暗闇の中では頼りになる。光蘚は、虫を引き寄せるためにこのように発光しているようだが、この暗闇の中では十分、目立つ。

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川のほとりで火をおこし、たき火をする。だんだんと大きくなる火をじっと皆、黙って観ている。暗闇の中で火を熾す。火はすなわち、光である。火を発見したことで人間が大きく発展したということが、暗闇で火を熾すとよく理解できる。火があることで、光だけでなく暖も得られる。暗闇でのたき火の火は、あたかも広大な暗黒空間における太陽のようにも思えてくる。

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この暗闇の経験は、日常の都会の生活ではまったく眠ってしまっている原生の感覚を覚醒させるという点で、なかなかリハビリテーションとしてはいいと思う。暗闇の中の森は多くの音で溢れている。これらの音は、暗闇であるから聞くことができる。蛙の鳴き声、きりぎりすの歌声、川のせせらぎの音、風に揺れる木の枝がこすれる音。暗闇の中で、数多の生物が生を営んでいることを知る。こういうことは、言葉や観念で知るよりかは、実感として知ることが重要だと思う。学生達もこの暗闇体験を通じて何かを感じ取ったのではないだろうか。

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