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赤い電車(京浜急行)の位置づけ [都市デザイン]

くるりの「赤い電車」をよく聞く。これは次女が何故か気に入って、よく聞かせろとせかすからだが、快特の出発音ファソラシドレミ〜をうまくメロディーに取り込んだなかなかの佳作だと私も思っている。それはともかく、この「赤い電車」である京浜急行というのは、面白い路線である。まず、ターミナルが品川で凄く地味であるし、駅もパッとしない。これは、西武池袋線がターミナルにどんと西武百貨店を擁したり、同じ東武東上線でさえ東武百貨店を構えて藤原紀香とかに宣伝させていたり(昔の話ですが)、京王線や小田急が新宿にそれぞれ京王百貨店や小田急百貨店やハルク、東急が渋谷に109や東急本店、東急東横店を擁しているのとは偉い差だ。これらの私鉄は、ターミナルを沿線文化の発信基地として利用しているが、京急はそもそも沿線文化をつくる意思があるのか。まあ、あるとしたら横浜から三浦半島にかけてということだし、本当のターミナルも品川というよりかは、横浜のような位置づけだから品川は付け足しなのだろうけど、それにしても地味過ぎる。ホームの数も少ないし、こうターミナルの威厳が凄くない。品川から川崎、横浜と続く路線は京浜東北線と平行に走っている。したがって、他の私鉄のように駅の後輩圏が円状に広がっていかない。なぜなら、西側の駅勢圏はほとんどJRに取られてしまうし、JRの駅はバスのターミナルがあったり、私鉄との乗換駅であったりして、後背圏が西に広大なので、京急はもう京浜東北線と東京湾との細長いところのニッチ・マーケットを狙うしかない。もう狭い棚田で一生懸命、稲を育てているといった感じがするのである。

この赤い電車と私はほとんど縁がなかった。これは目黒区に住んでいたこともあることを考えると、ちょっと意外だが、そもそも使う必要性がなかった。横浜に行くのは東横線が圧倒的に便利で安い。私的には、すごく京急はマイナーな位置づけだったのである。ビートルズの曲でいうとラブリー・リタぐらいの位置づけである。って、どういう位置づけか分かりにくいかもしれないので、別の比喩でいえば、山手線における鴬谷駅のような位置づけ、ブラジル代表におけるジウベルト・ダ・シウバ・メロのような位置づけである(彼は、不動のMFであるジウベルト・シウバとほとんど同じ名前であるために、おそらく結構つらい立場にあると思うが、京急も京成や京王と間違えられたりするつらい立場にあるところが似ているのでは。ちなみに京成もそれほどパッとしない私鉄ではあるが、ディズニーランドと成田空港でちょっと京急よりはましか)。

ところが、3年ほど前から関東学院大学で非常勤講師をするようになり、よく乗るようになった。また、4年前から明学に奉職しているが、明学の学生は結構、京急の沿線に住んで、京急とともに成長してきた学生が多い。そして、くるりの「赤い電車」と、私の中での京急の親密度は格段にあがっている。あと、大きいのは羽田空港との直結だ。もっと、早くからやればよかったのに、確かモノレールか何かの反対で空港と直結できなかった京急だが、直結すると、意外とモノレールより便利である。やはりマイナーとはいえ、浜松町より品川の方が何かと便利である。ということで、京急への関心が高まっている。とはいえ、品川から横浜までの沿線は本当に緑が少ない。工場地帯であったにしても、ちょっと都市デザインがやられなさ過ぎである。蒲田とか川崎とか、頑張って面白いものを探そうとすれば探せるのだが、何かこう仮設中といった街の雰囲気が未だする。しっかりとした将来ビジョンを打ち立てることが必要なのではないか。多摩川とかのランドスケープは美しいのだが、そういう美しい資源をうまく活用できていないという印象を強くする。

くるりの「赤い電車」の歌詞は結構、気に入っているのだが、どうもあの歌詞が似合うのは、むしろ東横線とか中央線のような印象を受ける。沿線文化を含めて、ストリートスケープならぬレイルスケープを考えるといいような気がする。余計なお世話かもしれないが。



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