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ポートランド大学のイーサン・セルツァー教授の講演会に行く [都市デザイン]

ポートランド大学のイーサン・セルツァー教授の講演会に行く。彼とは1994年に取材をしているので、11年ぶりの再会である。ポートランドは、アメリカの都市計画の奇跡である。まさに、掃き溜めに鶴、といった存在であり、日本でもいろいろと紹介されたりしている。私も1994年に論文を出しているが、私の論文としては出来が優れているものとして、引用もよくされていた。しかし、所詮、日本の研究者が発表する論文は二次的情報である。実際、ポートランドの計画に深く関わり、研究してきたセルツァー教授の話のリアリティにはとても及ばない。そういった点で、今日の話は大変ためになったのと同時に、ポートランド、特にメトロに関しての疑問も直接、聞いたことで明かになり意義深かった。明かになった点は以下の事柄である。
・メトロの財政源:二つある。一つ目は直接的なサービス料を自治体から貰うこと。これには、ごみの回収サービスを自治体に代行することの報酬として貰っている。二つ目はメトロはMPOのステータスを有しているので、ISTEAなどの連邦予算の受入窓口となっている。
・ポートランド大都市圏には広域行政組織COG(Council of Governments)が存在しない。これはメトロが存在するから、その必要性がないためである。
・ワシントン州バンクーバーの存在。ポートランド大都市圏は、北部がオレゴン州ではなくてワシントン州のクラーク郡バンクーバー市になっている。州が違うことで、包括的な計画ができないという問題を内包しているのだが、これに関しては、クラーク郡がしっかりと都市計画をすることで、ある程度歩調が合わさっているそうである。11年前懸念されていた問題は随分と前向きに対応されているようである。
ポートランドがあれほど優れた成果を出しているにも関わらず、フォロワーはいない。少なくともメトロと類似した組織をつくろうという動きは見られていない。メトロもあのタイミングでなくては出来なかったであろうとセルツァー教授も指摘していた。クリチバにしろ、ポートランドにしろ、本当にタイミングがその都市の命運を分ける。
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