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日本の市民参加はアメリカのそれより進んでいる?? [都市デザイン]

アメリカの市民参加をヘンリー・サノフとともに、広く一般化することに貢献したランディ・ヘスターの講演を東北大学で聴く。彼が日本や台湾と関心をもったきっかけは、1990年代にはアメリカの市民参加はほとんど制度側がコントロールをしていたのに対して、日本や台湾の方がずっと優れていたと感じたからだということを知る。そこで、彼は日本や台湾と一緒に市民参加の会議をすると、自分がいろいろと勉強できると感じたのである。つまり、これは、アメリカよりも日本や台湾の方が市民参加については1990年代には進んでいたということである。これは、なかなか衝撃的な意見であるが、以前も、伊藤滋先生(東大名誉教授)が、アメリカ人が日本に来たら、市民参加が民主主義的に行われているので驚いたのを知って、自分が驚いた、という話をしていたことを思い出させた。つまり、日本人はアメリカの市民参加という方法論を参考にしたのですが、本家がアリバイ的に使っていたのをくそ真面目に導入して、逆にしっかりした制度をつくってしまったのである。
 もちろん、これは一面的な見方である。市民参加という方法論をくそ真面目にやっている自治体もあるが、多くの場合はそれほどしっかりとされていない。特に、自治体規模やプロジェクト規模が大きくなれば、市民の声が全然、届かないのは神宮外苑の再開発のケースをみても明らかである。とはいえ、先進国から一生懸命、学んだと思ったら、そのオリジナルより上達してしまったというのはケーキやパン、自動車づくりだけではない。それじゃあ、なんでそれでまちづくりが上手くいかないのかというと、ボトムアップを政策に繋ぐチャンネルがないからだ。逆にいえば、いくら市民参加をしても、このチャンネルが不在であるので暖簾に腕押しになってしまっている。こういう勿体ない制度設計になっていることが、日本がなかなか袋小路を突破できない理由の一つかなと考えたりする。

タグ:市民参加
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