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コペンハーゲンは自動車から人へと都市づくりのターゲットをシフトして50年以上経つ [都市デザイン]

コペンハーゲンは自動車から歩行者へ、自転車へとその都市空間の利用者の優先順位をストロイエの成功以来、大きくシフトして50年経ちましたが、その最新事例がそれまで環状道路の抜け道として使われていたVester Voldgadeです。自動車が通るスペースは残されていますが、それ以外は自転車専用レーン、そして駐輪場、ベンチ、さらにはサッカーゲームによって空間が占められています。徹底した自動車苛めは、そういう政策を支持する人々が多数派であるからでしょう。土曜日の夕方、ある道路では都心部はまったく身動きできないほどの渋滞でした。これだけ渋滞していると、人々は少なくとも、都心部においては自動車に乗らずに歩いたり、自転車に乗ったり、鉄道に乗ったりするでしょう。

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(Vester Voldgadeの道路の人間化)

しかし、どうしてここまで自動車を苛めるのか。ちょっと日本人には理解し難いところがあるかもしれませんが、大きな理由はそちらの方がサステイナブルであるからです。自転車、歩行者、自動車だと移動に際して消費するエネルギーは、1:3:60です。自転車が一番、エネルギー的には効率がいいのです。さらには、運動になるために健康にもよい。長期的には医療費節約になるでしょうし、長生きもできるでしょう。土地利用の効率も断然、優れています。自動車一台分の駐車場に通常10台の自転車が駐輪できます。日本のようにママチャリといったモデルが普及している都市では15台駐輪できるという研究もあります(チェスター・リーブス氏『世界が賞賛する日本の町の秘密』)。

デンマークは、風力発電に力を入れていることなどからも、本当にサステイナブルな世界を志向しているようです。そして、公務員というか行政が国民や市民の豊かさを向上させようと努力している。その結果が、自動車を苛めて、歩行者・自転車のアクセスを充実させている背景にあるようです。
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