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ヘンリー・サノフ氏と教育の方法論の会話をして再び感動する [都市デザイン]

学会での会食で『まちづくりゲーム』の著者であり、参加型のまちづくり、参加型の教育の祖でもあるサノフ氏と会談する機会が再びあった。前回は、参加型教育に関しての話であったが、今日は実践論についての話をすることができた。

まず、彼はテストが大嫌いなそうである。テストが馬鹿げているのは、テストは誰かが重要だということを一生懸命覚えて、そしてテストの後に忘れてしまうことだからだと言う。そして、サノフ氏はテストをしたことがないという。というのは、テストというのは教員が重要なことだと勝手に思っていることを押しつけているだけだからだ。学生は違うことを重要であると思っているかもしれない。教員が一方的に価値観を押しつけていいのか、ということだそうだ。その代わり、サノフ氏は学生に「自分が重要だと思うこと」に関するレポートを課すそうである。

また、彼は月曜日の19時から22時まで講義を自宅でしていたそうだ。彼の家が大学のそばということもあったが、それ以外の時間は、学生達はコミュニティで仕事をしているので、19時以降でないと講義の時間を取れなかったからというのが理由だそうだが、なかなか斬新な考えである。学生数は12人から15人ぐらいであった。

ちょっと突飛ではあるが、現在の大学教育の矛盾を見事に突いているし、その対応も見事である。本当に聡明な人なのだな、というのが話をしているだけで分かる。私は、結構、猛烈に感動してしまった。

他には、サノフ氏が日本と相性がいいことが分かった。以前、都市計画学会の大御所である伊藤滋が、東京フォーラムでの講演でアメリカ人が日本のまちづくりを通じた市民参加の状況に感心していたので、日本はアメリカから考えを「輸入」したのに面白いね、みたいな話をしていたことを思い出した。こういう状況が生じたのは、サノフ氏の考えが日本では広く普及したことも背景にあるのではないだろうか。日本で彼の本はベストセラーになったが、韓国では日本より早く翻訳されたにもかかわらず、全然売れなかったそうだ。韓国はボトムアップのまちづくりはされていないようだ。ちなみに、サノフ氏は韓国のヨンセイ大学で現在でも講義を持っている。

彼に言わせると、日本のソーシャル・ネットワークは素晴らしい。アメリカでは他の自治体がやっていることを知らないが、日本は知っている。これは素晴らしいことであるとも言う。

再び、いろいろと貴重な話が聞けて本当によかった。相当、刺激を受けた。

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