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司馬遼太郎の『坂の上の雲』のあとがきを読み、秘密情報保護法案の愚かさについて考える [サステイナブルな問題]

安倍政権になってからのきな臭い動きに、とてつもない不安を抱いているので、最近、司馬遼太郎を読んでいる。日本人という人達が理解しにくくなっているからだ。結構、勉強になる。そこで、ちょっと、最近、司馬遼太郎の『坂の上の雲』を読んで考えたことを紹介させてもらう。

司馬遼太郎の『坂の上の雲』のあとがきからの引用

『この日露戦争の勝利後、日本陸軍はたしかに変質し、別の集団になったとしか思えないが、その戦後の最初の愚行は、官修の「日露戦史」においてすべて都合のわるいことは隠蔽したことである。(中略)作戦についての価値判断がほとんどなされておらず、それを回避しぬいて平板な平面叙述のみにおわってしまっている。その理由は戦後の論功行賞にあった。伊地知幸介にさえ男爵をあたえるという戦勝国特有の総花式のそれをやったため、官修戦史において作戦の当否や価値論評をおこなうわけにゆかなくなったのである。(中略)これによって国民は何事も知らされず、むしろ日本が神秘的な強国であるということを教えられるのみであり、小学校教育によってそのように信じさせられた世代が、やがては昭和陸軍の幹部になり、日露戦争当時の軍人とはまるでちがった質の人間群というか、ともかく狂暴としか言いようのない自己肥大の集団をつくって昭和日本の運命をとほうもない方角へひきずってゆくのである。』

このあとがきで述べられた現象から、演繹できることは、いろいろと不都合なことを隠蔽することの弊害というのは、その時点においてももちろん生じるが、将来において、その失敗から学ぶことができなくなるということであろう。秘密情報保護法案の愚かさを改めて知るだけでなく、その将来へ多大なる禍根を残すことに危惧を抱く。原発の事故は起きて欲しくなかった失敗であったが、それをしっかりと情報開示することで、現状の問題に対処できるだけでなく、将来のために学ぶことは極めて多いはずだ。原発を推進させようとするのであればなおさらである。安倍政権によって、日本は再び、世界中を敵にした過去を繰り返そうとしているのであろうか。北朝鮮をしょうがない国であると批判できるような余裕はないかもしれない。いや、本当に危ないものを感じている新年である。


坂の上の雲〈8〉 (文春文庫)

坂の上の雲〈8〉 (文春文庫)

  • 作者: 司馬 遼太郎
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 1999/02/10
  • メディア: 文庫



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