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『図説 近代建築の系譜―日本と西欧の空間表現を読む』 [書評]

本書は日本と西欧の近代建築を、一つの本にまとめようと試みたものである。4人の建築史の研究者によって執筆されているが、クオリティ的には極めて高く、よく多くの著者でみられるような筆者による温度差の違いが少ない。日本の建築は明治維新前後から、西欧のそれは19世紀から整理されている。図版が充実していること、またキャプションが詳細であるために、分かりやすく、駆け足で近代建築を理解するのには適切な本であると思われる。また、現在というか1990年代後半の視点から、それぞれの時代の建築の意義を評論しているのだが、それは現在を生きている我々にとって有益なものが多く、そういった点でも読む価値のある本であると思われる。個人的にはコルビジェに関して、彼の視野の狭さを著者が指摘していた点が興味深かった。巻末の年表も大変役に立つ。高品質な近代建築史の教科書であると思われる。


図説 近代建築の系譜―日本と西欧の空間表現を読む

図説 近代建築の系譜―日本と西欧の空間表現を読む

  • 作者: 大川 三雄
  • 出版社/メーカー: 彰国社
  • 発売日: 1997/06
  • メディア: 単行本



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