マイケル・ムアーの『シッコ』 [映画批評]
マイケル・ムアーの2007年の作品。ムアーのドキュメントは、きっちりと起承転結があるため、ぐいぐいと映像に惹きつけられ、最後のオチもしっかりとしているため観た後、優れた納得感、すっきり感が得られるが本作も例外ではない。アメリカの医療問題の深刻さを、数々の事例から明らかにさせていき、カナダ、フランス、キューバと他国と比較することで、その問題はアメリカだけに該当するユニークなものであることを露見させていく。アメリカの社会問題の深刻さを浮き彫りにする傑作であると同時に、ドキュメントの持つ力の凄さも示している快作だ。観て損はないというか、観ないと損をすると思われる。