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奈良町で伝統的な街並みについて考察する [都市デザイン]

奈良の町屋街奈良町を散策する。世界遺産である元興寺の周辺の旧境内に広がる伝統建築群地域である。第二次世界大戦の空襲を免れたこともあり、江戸時代以降の町屋が数多く立ち並んでいる。しかし、伝統的な町屋の街並みの中に、ハウスメーカーの近代的な住宅が侵食しつつあり、また駐車場なども出来て、その粋な街並みが風情を失いつつある。

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(伝統的な建築ファサードが維持されている奈良町)

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(しかし、ハウスメーカーの近代的な住宅によって置き換わりつつある)

それにしても、なぜ、ハウスメーカーがつくるような近代的な住宅に建て替えてしまうのであろうか。歴史的な街並みが愛され、しっかりと保全されているドイツの都市群をみてきたせいか、個人的には違和感を覚える。

という質問を現地の街並み保全活動をされている方に投げかけると、このような古い街並みで生活することはなかなか大変なそうである。多くの人が建て替えればそうしたいとも考えているようだ。建て替えてハウスメーカーの工場で生産されたような住宅に住みたがるそうである。

しかし、果たしてそのような現代的な家の方が優れているのだろうか。私はとてもそうは思えない。ドイツでは床が平でないような古い木組みの家に住みたがる人が多い。そのような歴史的な重みのある家で住みたいとのニーズがあるのだ。もちろん、夏に蒸し暑い日本と冷房もいらないほど夏が涼しいドイツとでは、考えも異なるのだろうと思う。ただし、私が訪れた奈良町を訪れた日は恐ろしく蒸し暑かったが、伝統建築の中に入るとひんやりと涼しく、快適であった。空調が入っていなくても涼しいのだ。私の東京の昭和40年代につくられた建物とは比較にならない快適さである。

耐震性を高めるためのリノヴェーションをするには2000万円くらいかかるそうだが、これは新築よりは安い。工場生産の新築の住宅に比べれば、むしろお得感があると思ったりもするのだが。

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