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国際的な批判が高まる日本の原発への対応 [グローバルな問題]

 アメリカの全国紙であるUSAトゥデイ(3月30日号)の記事に、福島第一原発に関して悲観的なコメントが書かれていた。ミシガン大学の原子力工学のキアフォット教授の「昨日より今朝の方がはるかに状況を心配している」というコメントなどが紹介され、放射能汚染された水のおかげで作業が難航していることを問題視している。同教授は、「作業員にとって、数時間で致命的(lethal)」な放射量であるとも指摘している。
 この記事の下には、「雨が日本から放射性のあるヨウ素を運んできた」との記事も掲載されており、ワシントン州、カリフォルニア州、アリゾナ州、マサチューセッツ州、フロリダ州など15の州で日本の原発事故の影響で放射性のあるヨウ素が検出されたことを報告している。そして、日本のように「健康には問題がありません」と付け加えている。アメリカで問題があれば、日本なんて全滅だろう、と思わず突っ込みたくもなるが、日本の責任なので、そうも強く言えない。
 とはいえ、全般的にアメリカではマスコミを始め、人々も、この福島第一原発はほとんどチェルノブイリ級の事故であると捉えているなと感じる。ちょっと知り合った人に「あんたの国で起きたことは本当、同情するよ」といったように言われたりして、お前の同情なんていらん、という気分にもなったりする。私にとって、アメリカ人ごときに同情されるのは日本人としてのプライドが許さないのである。
 一方で、日本は国内のマスコミや日本人だけを説得させれば、また原発も再開させられるであろう、といった意識が経産省だけでなく、東電も考えているなという印象を受ける。経産省に関しては、原発を有する各電力会社に津波対策をしろと指示したりしていることからも伺えるし、東電も社員が炎上覚悟で「原子力発電は大きな力となり、暮らしを守るためには必要な発電です」とか「福島県に対する風評被害をもたらしているのは、政府やマスコミではないでしょうか」とか書いていることなどからも伺える(http://megalodon.jp/2011-0326-0112-35/ameblo.jp/morizo-wr83/entry-10835311318.html)。
 しかし、ことは日本だけで収まる次元をとうに越えていることに気づくべきである。実際、放射能がその国にまで飛んでいったという迷惑をかけている以上、日本で原発を続けられるかどうかというのは、日本の世論だけでなく国際世論からも批判を受けるような失態をしたことに気づくべきである。島国で、自国のことは自分達で勝手に決められると思っているのは、思い上がり以外のなにものでもないのだ。なぜなら、放射能は陸続きではない国境をも越えてしまうからである。
 私は英語の教育の無駄を主張しているものであるが、英語をしゃべれても、このような国際的な感覚がなければ、まったくの無駄であると思うのである。相手がどのように考えているかを理解することこそが国際人として必要とされる資質であって、英語を話せても、それは必要条件を満たすだけであって十分条件ではない。逆に、英語を話せなくても、そのような状況を理解できれば他国も理解をしてくれるであろう。
 ということで、本当に原発というのは、国際的に認めてもらえなくては自国の政策とかで勝手にやれるものではないのだな、ということをアメリカの新聞を読むことで理解をしたのである。
 この原発の事故に対して、国際的にどう落とし前をつけるかで、日本の国際的な信用も大きく問われているということに経産省の役人は自覚するべきである。
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