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宇都井駅のライトアップ・プロジェクト [都市デザイン]

照明デザイナーの富田泰行氏と長町志穂氏の講演会に出席する。富田氏は、照明デザインの歩みと彼が最近、手がけられた豊洲の照明デザインの話をされた。1970年代の「不毛の時代・未開の時代」から「黎明の時代」の80年代、「普及の時代」の90年代、「展開の時代」の00年代を経て、これからはより多様性が追求されていくとの話であった。照明は器具ではなく、マテリアルになっているとの指摘が興味深い。私は豊洲が全般的に好きではないが、照明に関しては光の序列をつくっており、水辺に近づくにつれ、光は徐々に低い位置になり、輝度感、照度も低くなるように計画されたとの話に感心する。
 さて、もう一人の長町氏の話はインパクトがある。島根県邑南町に宇都井駅という地上30メートルにある高層の三次線の鉄道駅がある。ここはエスカレーターもエレベーターもなく、116段の階段を上がらないとホームにつけないという強烈な駅なのだが、彼女は去年、ここのライトアップ事業を行ったのである。もちろん金はほとんどないので、どうしたかというと、地元のおじちゃん、おばちゃん達がつくったり、投光機に接続する電線ケーブルなども皆が持ち出したりして、手作りで仕上げたのである。そのライトアップされた映像を見せてもらったが、見事にこの宇都井駅が光で装飾され、幻想的であり厳かな空間をつくりでしていた。まあ、こういうアプローチはルール地方の産業遺産ではよく使われてはいるが、予算もなく、知恵だけでこのような事業を遂行してしまう長町氏と彼女のスタッフ、そして地元民の情熱には頭が下がる。テレビドラマになるような感動的なストーリーであった。まさに「都市の鍼治療」である。都市ではないかもしれないが・・。

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