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20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義 [書評]

スタンフォード大学のシーリグ教授による本で、最近はベストセラーらしい。内容は凡庸であり、40代後半の私が新たに発見したことはほとんどない。とはいえ、あまり本を読んだことがなく、若い人、すなわちこの本のターゲットである20才ぐらいの人には興味深い本かもしれない。逆にビジネスマンがこの本を読んで感銘を受けたとしたら、それはその人がいかに勉強不足であり、読書不足であるかがばれると思われる。ということで、読むのは構わないが、あまり人に勧めない方がいいであろう。

20才をとっくに過ぎたものにとっては、内容的にはほとんど時間の無駄のような内容だが、著者は読者に対して著者の能力の範囲では誠実にあろうとしていると思われる。その姿勢が行間を通じて伝わるので、どうにか最後まで読むことができたし、それほど悪い読後感が得られなかった。まあ、それが救いか。

ユーチューブに彼女の大学での講義がアップロードされている。はっきり言って、ちょっとイタいキャラのような印象を受ける。私が講義でこんなだったら自己嫌悪に陥る。まあ、いい人なんだろうし、お友達になったら、いい人だねえ、と思えるかもしれないが、若干、客観的な姿と自分が描いている姿にズレがあるような人なのかなとの印象も受ける。どちらかというと、ガンバルことに疑問を抱かせるようなキャラかもしれない。よく考えたら、私は友達になれないタイプかもしれない。
http://www.youtube.com/watch?v=qMA7KInG8IY&feature=related

人の価値観はそれぞれが勝手に持っていいものだと思うが、彼女だけの価値観で世の中割り切れないし、こんな価値観でハッピーになれたら世の中、文学も芸術もいらないだろう。とはいえ、繰り返すが、勝間和代よりはずっと人がよさそうな印象は受ける。

ちなみに私のゼミ生がこの本を読んだ後、「こんな本が売れている世の中だったら、俺もどうにかやっていけるだろうと自信を持てた」と述べたが、うん、非常に頼もしい。それでこそ私も貴重な時間を割いて教育したいと思わせる。逆に、この本で感動しているような学生には、焼け石に水である。それは、ミスチルのファンに椎名林檎のよさを理解させるような、砂漠に水をかけるような行為にも似ている。


20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義

20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義

  • 作者: ティナ・シーリグ
  • 出版社/メーカー: 阪急コミュニケーションズ
  • 発売日: 2010/03/10
  • メディア: ハードカバー



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