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小湊鐵道に乗る [地球探訪記]

小湊鐵道という私鉄が千葉県にある。内房線の五井駅から出ており、房総半島を半横断して、上総中野まで行く。この終点の一駅手前が紅葉の名所である養老渓谷である。この養老渓谷は、なぜか中学時代の頃から気になっていたのであるが、これまで訪れる機会に恵まれなかった。ということで簡単なハイキングを兼ねて行くことにしたのである。五井駅といえば千葉駅からそう離れていない。小湊鐵道もそこそこ沿線が住宅開発され、通勤・通学列車として使われているのだろうとのイメージを抱いて五井駅を降りて、ホームで停車していた列車をみて驚いた。まるでタイムスリップしたかのようなぼろ列車なのである。

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(五井駅に停車するディーゼル車)

これは、邦画「RAILWAYS」の世界である。しかも、このような世界が千葉県にあったなんて。列車はディーゼル車、しかも車両は一両。駅舎の多くが本当戦前につくられたかと見紛うかのようなぼろさで、旅情溢れる。しかも切符は車掌から購入する。車掌は中年女性で、なかなか牧歌的な風貌をしていた。片道か往復か、と尋ねるので片道と答えると、明日までに帰るなら往復がいいよと言われる。片道は1200円ちょっとだが往復は1700円ちょっとなのである(正確な料金は忘れました)。なんか気が抜ける料金設定である。車窓こそ、最初の数分は郊外住宅地の様相を呈していたが、そのうち、レトロ感溢れてくる。ススキ、赤とんぼ、頭を垂れる稲穂・・・。まさにタイムスリップしたかのような景観が展開する。こういう感覚から一挙に現実に戻すのは、必要以上に立派に整備された道路だったりするのだが、なぜかこの沿線の道路は昔ながらの狭くてくねくねした道路なのである。40キロに満たない距離を1時間以上かけて長閑に走り、養老渓谷にようやく着いた。養老渓谷の駅周辺はさらに凄まじく、昭和30年代の世界であった。自分が中学生に戻ったような感覚に囚われる。

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(鉄道オタクのファンが多いことがうかがえる)

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(車内の様子)

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(養老渓谷駅のそば)

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(養老渓谷駅のホーム)

養老渓谷は生憎、まだ紅葉には早かったのだが、なかなか森林も深く、ちょっとじめじめ感は多少、抵抗があったが、こんなところが東京から2時間程度のところにあるのか、という点では感動すら覚えた。房総半島の自然の豊かさ、そして田舎さ加減を十二分に知ることができた。まあ、観光地としての養老渓谷はそれほど評価はできないかもしれないが、小湊鐵道には一度、乗る機会をつくるといいのではないだろうか。旅情たっぷりなローカル線の旅を満喫することができると思われる。少なくとも、陸羽東線なんかよりは遙かに旅情がある。

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