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デンマークの豊かさの謎に少しだけ迫る [グローバルな問題]

デンマークは豊かである。何故だろうか。デンマーク人にいろいろと聞く。経済を牽引するような産業は特にない。シェアが高いものは、船舶用のエンジンとセメントでともに世界経済の4割ぐらいを占めるらしい。金額はともかく量でいえば、最大の輸出を誇るのは豚らしい。その多くは日本に輸出されるようだ。メキシコやらデンマークから日本は豚を輸入しているのである。そんな豚ぐらい自給しろよな、とちょっと不愉快になる。話を元に戻すと、特筆すべき経済的な強さは特に見当たらない。資源は天然ガスが取れることは取れるが、どちらかというと資源面でも豊かとは言いにくい。

その割には豊かである。じゃあ、社会面で何か特徴があるのか。デンマークでは簡単に首を切れるようである。仕事をしないと即首。それと同時に、雇用の流動性が高いらしい。したがって、雇用需要のある産業に人々は仕事先を変えるらしい。しかし、仕事を辞めるとその日から社会保障が出て、給料が低い人だと9割くらいが貰えるようだ。この手厚い保護政策のせいか、失業率も結構高いようだ。とはいえ、統計をみたら4%ぐらいであったが。女性の就業率が高いことも特徴である。スカンジナビア諸国共通のことかもしれないが、女性の就業率は9割を越える。多くの人が働いているということは経済の豊かさと繋がるのではないかとも思われる。あと、同行したドイツの大学の同僚は、教育レベルが高いと驚いていた。

その他の特徴としては、基本的に農民なので協調性が高いということ。さらに、ちょっと協調性とは矛盾するかもしれないが、自立性も高いということが挙げられるようだ。確かに食糧自給率も100%を越え、エネルギーも風力発電などに力を入れ、脱化石エネルギーの脱却へと努めている。これは、他国に食糧、エネルギーを依存したくないという強い思いが背景にあると考えられる。何しろ、隣国がスウェーデンとかドイツで、歴史的にやられまくっているので、依存したくないという気持ちが強くなるのは分からないでもない。あと、金持ちはいない訳ではないが少ないようだ。金持ちをあまり肯定的に捉えないという風潮もあるそうだ。

とはいえ、これらの仮説だけではデンマークの豊かさの謎は解明できない。好奇心は結構、刺激されているが、巷に出回っている日本のデンマーク本も答えは提供してくれない。まあ、誰かがしっかりとした調査などを行っているのかもしれない。半年で3回のデンマーク行きで、ますますデンマークという国への興味が膨らんできている私である。

と書いてブログにアップしようとしていた矢先、日本の会社の駐在員と話をする機会を得る。彼の会社はヨーロッパの多くの国と取引があるらしく、いろいろと商談をする機会があるのだが、デンマークの人達はなかなか真剣に商談の話をしないそうで、ドイツなどとは好対照のようだ。すぐお茶に行こう、となり、なかなか話が進まないようだ。ドイツだと、もうこれはどうなった、あれはどうなったとしょっちゅう連絡が来るらしく、日本人としては仕事がしやすいらしい。どうも仕事に対するモチベーションがあまり高くないらしく、それは社会福祉がしっかりとしていることと関係があるのではと彼は考察していた。

仕事に対して積極的に取り組まないというのは問題かなと思うが、それでも幸福度が高いというのも悪くないことかもしれない。人間にとって何がよくて、何がよくないのか。デンマークは、そういうことをいろいろと考えさせる素材を多く提供してくれるというのは確かだろう。

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