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『ラースと、その彼女』は観るものの心を温める秀作 [映画批評]

アメリカのフロストベルトの田舎町に住む主人公のラースは人付き合いが苦手なシャイな青年であったが、彼が通常とはかなり違うと兄や周りの人々が気づいたのは、彼がリアル・ドール(昔でいうところのダッチワイフ)を彼女として連れ歩くようになってからである。しかし、医者そして周りの人々は、その彼の行動を非難せずにリアル・ドールをラースの彼女として受け入れる。彼へと向けられる周囲の人々の温かさが、観るものの心を打つ。そして、その温かさに守られて、ラースも徐々に自分の周りの環境を受け入れるようになっていく。コミュニティや人間関係が希薄になり、また異端を排除しようとする思考が支配的になっている現代社会に生きる我々の心を温めてくれる秀作である。

また、話が映画から逸れるがリアル・ドールが結構、リアルなのは多少、怖い。ホームページでチェックをしたら本当にインターネットで売られていた。価格はベーシックのもので60万円くらいで、いろいろとオプションをつけるとさらに高くなる。こんな高くても商品として売れるのだろうか。こういう技術は需要があればどんどんと進歩するであろうから、もし需要があるようなら、よりリアルなものがこれからつくられていくかもしれない。最近、知ったのだが、日本にはアニメのキャラの抱き枕なるものがあるらしい。私のような年寄りはこれでも、結構引いてしまったのだが、抱き枕でも売れるのであれば、アニメ版のリアル・ドールが出来るのは時間の問題であろう(というかもしかしたら、もう存在しているのかもしれない)。そうでなくても、フィギュアがあれだけ売れるのだから。まあ、しかし、もし需要が拡大するのであれば、日本人はそういうのをつくるのが得意そうだから、新たなビジネス・チャンスをつくれるかもしれない。あまり考えたくはないけれど。そのうち、リアル・ドールの綾波レイを車椅子で押して歩く人を街中で見かけるようになるかもしれない。


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