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ドイツ人でも驚くドイツの道路の少なさ [都市デザイン]

田中角榮の時代、日本の道路は欧米諸国に比べて貧弱であり、整備もされていなかった。しかし、その後、道路特定財源などの制度をつくり、一生懸命に道路を整備したところ、欧米諸国に遜色のない状況にまで道路整備が進んだ。その状況を欧米諸国と比較した表をドイツの大学の同僚にみせたところ、この数字はおかしいと指摘してきた。日本の方がドイツよりこんなに道路が整備されているのは解さない、という思いが強かったようだが、何しろフランスに比べてドイツが大いに少ないことが納得できなかったようだ。私は、いや、この数字は『道路行政』という本などから引用しているので間違っていないと思うけど、と言ったのだが、自分でインターネットを調べ始めた。

その結果、私の表と同じ数字であったことが分かった。彼は結構、この事実に驚いていた。私は私で、ドイツは道路があまり整備されていないことをドイツ人の都市計画の専門家でも知っていないことが分かり、そのことに結構驚いた。しかし、彼はさすがにその数字が正しいと分かると、その理由を考察し始め、フランスの農村は一箇所に集中していなくて分散しているが、ドイツは一箇所に集中していること。そのために、農村の道路を整備する必要性がフランスに比してはるかに少なく、確かに、フランスの農村は放射状に道路を整備しなくてはならないが、ドイツはそういうことはないこと、などが要因であろうと分析した。日本の道路整備距離が面積当たりだとドイツなどに比べて遙かに長いことも、ドイツ型の空間構造ではなくて、フランス型の空間構造であるからだろう。

ドイツはオートバーンが整備されているから自動車での移動が便利である。しかし、自動車の移動が便利であることと、道路がたくさん整備されているのは必ずしも相関関係はない。日本のようにムダなところに道路をたくさん整備していても、必ずしも自動車でのアクセスがよくなる訳ではない。海外諸国との統計数字だけを比較するだけでなく、その背景にある歴史、地理、政策、公共性の意識などを理解することが重要だ。それによって、見えないものが見えてくる。


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