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ドイツの大学の卒業式 [ドイツ便り]

客員教員をしているドルトモント大学の卒業式に出席する。ドイツでは学生運動以降、卒業式を行わなかったのだが、二年ほど前に学生側から式を復活させて欲しいという要望があり、復活させたそうである。卒業式は学部長と前学部長のスピーチ、学生代表のスピーチなどがあり、多少くだけた感じではあったが心温まるものであった。途中途中でハープの演奏があり、その演奏技術の稚拙さには、これがクラシックの母国ドイツでの演奏かと驚いたが、これは、まあ私が目くじらをたてる必要もないことである。

印象的だったのは、各学生の名前と卒論のタイトルが、プロジェクターで投影されて名前が呼ばれて卒業証書を受け取ることと、その卒業証書を手渡すのが教務課の事務の人であったということである。教務課の事務のおばさんは学生からは大変人気があるようで、卒業証書をもらうと学生はおばさんにハグをしてキスをしたりしていた。彼女は簡単に挨拶をしたのだが、その時は万雷の拍手を受けていた。同僚に聞くと、学生と教員との橋渡し役を務め、学生のカウンセリングなどもしているとのこと。確かに大学生にはカウンセリングが必要だが、私の大学などもそこらへんは放っておいている。一応、アリバイ的に部署を設けていたりしているが、本当に大学生のカウンセリングのニーズに応えているかは微妙である。そういえば私自身も、アメリカの大学院で最も相談に乗ってもらったのは教務のおばさんであった。彼女はまさに私だけでなく、特に問題を多く抱える留学生にとっては、アメリカの母のような位置づけにあった。日本だと教務課とかは、味方どころかむしろ敵である。私が学生の時も、ちょっと相談したりすると余計怒られたりして、ろくなことがなさそうなイメージがあった。まあ、私の出来が悪かったからかもしれないが、出来が悪い学生ほど助けが必要なものである。ちょっと、ドイツの学生が羨ましくも思えたりした。

もう一つの発見は学生のカリキュラム改善組合みたいなものがあり、学生の要望を、学生達を代表して大学側、特に教員に訴える仕組みがあることだ。これなどは、実はすぐに私の大学でも導入するといいと思う。個人的な要望はともかく、おおかたの学生が要望することを、この組合がフィルターにかけて教員サイドに掛け合えるようにしたら、学生にとっても、カリキュラム等を改善したいと考えている教員にとっても効果が期待できるであろう。

卒業式は夕方の6時から始まり8時に終わった。その後はバーベキュー・パーティがあったのだが、私は家が遠いので式が終わると帰宅した。バーベキュー・パーティがどういう感じで展開していたかは不明だが、全般的に家族的でなかなかいい卒業式であったと思う。


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