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ドイツで床屋デビュー [ドイツ便り]

ドイツに来てから、髪の毛をまったく切っていない。日本を発つ前日に行きつけの床屋を予約していたのだが、目が回るような忙しさで、結局キャンセルした。ということで、髪の毛は悲惨な状態にあった。まあ、デフォルトの状態からして悲惨なので、三ヶ月も床屋に行かないと非常に悲惨な状態にある。私はそうでなくても、アラーキーに似ていると言われているのに、このアラーキーに狂気が加わったような風貌になってしまうのである。ということで、さすがに床屋に行かなくては、ということで、ドイツで床屋デビューをすることになった。

家のすぐそばは商店街で、数多くの美容院がある。まるで美容院通りのように、美容院が多い。その中にぽつん、ぽつんと床屋もある。どれがいいかなど分からないので、家から最も近い床屋に行く。歩いて5分もかからない。

さて、実は私は床屋には凄いこだわりがある。風貌が風貌なので、拘っても無駄という指摘もあるだろうが、私は拘っているのである。私は、もうかれこれ20年近くも同じ理髪師に散髪しててもらっている。理髪師が店を移動すれば、私も移動する。もうこれまで2回ほど理髪師を追いかけて行く店を変えている。この私を散髪してくれている理髪師の腕は、めちゃくちゃいいと思う。まさにマイスターという感じだ。私は20代頃からはげる予感がしたので、この理髪師にその予防をも依頼していたのだが、それは見事に功を奏さなかったが、それ以外ではまったく私の期待を裏切ったことのない素晴らしい理髪師である。とはいえ、私でさえ、素晴らしい腕だと思うくらいなので、この理髪師には常連が多い。ということで、予約が取れない時もある。以前は、そういう時はしょうがないなあ、と他の理髪師に頼んでもらっていたのだが、そうすると絶対といっていいほど後悔するので、日本にいたときは絶対、この理髪師に切ってもらっていた。

とはいえ、中田英のように、日本から理髪師を呼ぶといった芸当もできないので現地の店に行くことになったわけだが、アメリカに住んだ経験から、酷い目に合うだろうと予見していた。アメリカの理髪師は、本当ひどいからねえ。あまりの酷さに、当時近所に住んでいたグレートフル・デッドの追っかけをやっていたヒッピー風情の日本人に切ってもらっていたくらいだ。ということで、全然、期待しないで店に入った。私と同年齢くらいの女性が理髪師であった。7年生の息子と一緒に英語を勉強しているので、ちょっとしゃべれる、と言って英語で話しかけてくれた。もうとりあえず超悲惨な状態から悲惨な状態にもっていけばいいので、短くと言って切ってもらった。いきなりシャンプーをする。日本だと切った後、シャンプーをするし、それは理に適っていると思うのだが、なぜか最初。そして、濡れた髪をサクサクと切っていった。日本では結構、ゴージャスな椅子に座って、ゴージャスな気分に浸れるのだが、ドイツの理髪店は結構、おんぼろの椅子に座って、ゴージャス感ゼロである。理髪師が動くのではなく、客が回転椅子で理髪師が切りたいところに移動するといった仕組みであった。まあ、何のサービスも期待していないので、問題はない。バリカンはがんがんやられた。しかし、髭剃りはなかった。30分もしないで終わった。さて、全般的な印象としては、アメリカよりはずっとよかった。さすがマイスターの国だと感心した。値段は19ユーロ。チップが分からないので取りあえず10%で20ユーロ90セント渡す。ちょっと、これはポカンといったリアクションを受けた。少なすぎたのか、それともコインでのチップがいけなかったのか。

あとで、知り合いのドイツ人に床屋のチップの基準を尋ねると、とりあえず1ユーロという。割合ではないのか、と私が尋ねると、アメリカは10%とか15%とかいうが、僕はとりあえず1ユーロ、と言う。ドイツ人のサービス業従事者は高給取りだから、アメリカのようにチップをあげなくてもいいとの意見。まあ、そう考えると、19ユーロという値段設定は、実質的にはチップを入れて20ユーロということか。また90セントと細かくあげるのは顰蹙で、この場合は21ユーロ払うのがいいと言う。このチップというのは結構、やっかいな問題である。まあ、チップのことはともかく、とりあえずドイツで床屋に行き、超悲惨から悲惨くらいにステップアップができた。値段も安くてよかった。
タグ:チップ
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