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ミュンスターに行く [都市デザイン]

特にすることもないので、ミュンスターに行く。ドルトモント駅で切符を買おうとすると、もう本当にいろいろと機械が聞いてきて鬱陶しい。特に鬱陶しいのは、何時の列車に乗るかというのでリストが画面に出てくるのだが、日本と違って、一回で3本しか候補が出てこなく、その次の時間帯の列車にしようとすると、画面転換に恐ろしく時間がかかることである。慣れない私は大変、いらいらさせられる。別に約束の時間もないのでいいのだが、これが出張とかだったら発狂するだろうなと思う。民営化に関して、必ずしも肯定的な意見を有していない私であるが、こういう経験をすると民営化の意義を感じてしまう。

それはともかくとして、ミュンスターに向かう。一本で行けるはずだが、ハム経由の方が早くいけるようなのでハム経由で行く。ハムまでの車窓はそれほど興味を惹かなかったが、ハムからミュンスターまでの25分くらいのルートは結構、興味深かった。真っ平らな土地であることはともかくとして、森が多い。森がしっかりと保全されていることに感心する。都市と田園との区分が明瞭である。これはイギリスにも言えることかもしれないが、非常に濃淡がしっかりとした土地利用が為されている。そして、この森があることで都市の豊かさも活きてくるのだと感じる。人間は都市的だけではいきていけない。自然が豊かでないドイツだからこそ、自然を大切にする考えが出てきたのかもしれないが、その結果、ドイツのランドスケープは豊かなものとなっている。これは、厳しい規制の成果であると思う。

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さて、ミュンスター駅について降りたものの、前知識はほとんどない。大学都市であることと、立派な宗教施設が建っていることと、自転車利用を推奨する政策を採っていることぐらいである。人口も不明だ。ただし、駅の規模と特急列車の停車頻度などから人口は10万人〜15万人程度であろうか。人口20万人のフライブルグよりは小さいことは確実だと思われる。まあ、とりあえず駅から旧市街地へと向かう。駅の周辺に自転車が多く駐輪している。日本の都市と同じように都市景観を阻害しているが、駐輪場所として位置づけられているところに駐輪しているようで、日本ほどは酷くはない。とはいえ、裏玄関にあたる東口の駐輪状態は相当、混乱した状態ではあったが。ちなみに、日本並みに酷いと思ったことがあったのはオランダのハーレム駅であった。オランダのハーレムよりかは、ここミュンスターの駐輪もしっかりしている印象を受ける。街中を歩くと、自転車が走っているわ、走っているわ。自転車都市という名前負けをまったくしていないことを知る。ランドマークの写真を撮っていても、すぐ自転車がやってきて写真に入ってしまう。まあ、それはそれでミュンスターらしくていいのだが。

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感心したのは、自転車専用道路が敷かれていたり、歩道も赤煉瓦で自転車用の空間が色分けされたりして、自動車、自転車、歩行者の動線がしっかりと区分されていることである。これは、自転車を走っているものよりか歩行者にとって有り難いことだと思う。同じ自転車都市であるアメリカのデービス市よりも、こちらの方がシステムとしては上をいっている。人口密度は明らかにデービス市よりこちらの方が高いので、おそらく面積当たりの自転車密度もミュンスターの方がはるかに高いであろう。この高い自転車密度は、同様に人口密度が高い日本の都市に自転車奨励政策を導入するときに参考になると思われる。そして、特に素晴らしい都市デザインであるなと感銘を受けたのは、プロムナードという自転車と歩行者のための空間である。このプロムナードは旧市街地を囲むように、おそらく城壁の跡だと思うのだが、環状に整備されており、真ん中におよそ4メートルの自転車道、そしてその両側に3メートル程度の並木とベンチ、電灯のための空間、そしてその外側に1.5メートルくらいの歩道、さらに外側に並木が整備されている。この人のための空間はすこぶる素晴らしく、私がこの街に住むなら、この沿道にしたいと強く思う。こういう空間があることで、都市のキャラクターは大きく変わる。特に、自転車都市を標榜しているミュンスターにおいては、都市の顔として位置づけられるであろう。また、中央駅に自転車センターのような地下駐輪場が設置されていたが、これはデザイン的にもなかなか優れものである。単なる駐輪場だけでなく、ここで自転車の修理などのサービスも受けられるようである。これなんかはプロムナードと違って、今すぐどこかの自治体は施策として導入できるのではないだろうか。自転車都市として日本で思い浮かぶのは古河市や練馬区であるが、このセンターのように格好いいものを駅前に整備するとランドマークとしてもいいと思われる。ざっと3時間弱ほど歩いてみただけなので、しっかりとしたデータに基づいているわけではないが、この自転車によるまちづくりはミュンスターにおいては成功しているのではないだろうか。冬にどのように対処しているかが気になるところだが、街の美しさとともに、結構、感心した次第である。

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(プロムナード)

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(プロムナード)

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(自転車センター)

さて、ちょっと追記的にここで発見したことを書き留めておきたい。それは、このミュンスターのバーの多くが、ドルトモントのクローネン・ビールの広告や看板を掲げていることである。これは、もしかしたらミュンスターの地ビールがないということなのだろうか。それともドルトモントのクローネン・ビールがマーケティングに力を入れているということなのだろうか。ちょっと気になる。

帰りはミュンスターからエッセン経由でドルトムントに帰る。途中、レクリングハウゼンという非常に奇妙な都市、ドイツというよりかはイギリスのミルトン・キーンズのようなニュータウンのような都市を通過する。この都市は、間違いなく、その形成において変わった物語があるはずだ。そのうち訪れよう。

(追記)
その後、ミュンスターの人口を調べたら26万人であった。そんなに大きな都市には見えなかったのだが・・・。人口22万弱のフライブルグより人口が多いのは意外だ。都心のスケールでは、フライブルグの方がずっと集積があるように見えるのだが。郊外に発達している都市なのかもしれない。


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