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「ワールド・オブ・ライズ」を観て、なかなか面白い映画だと思った次第である。 [映画批評]

ブリスベン行きの飛行機で、時間をもてあましていたので、機内映画で「ワールド・オブ・ライズ」というレオナルド・ディカプリオとラッセル・クロウが共演する作品を観た。まったく期待もしないで観たのだが、これが結構、面白くていい作品なのでちょっと驚いた。監督は誰だろう、とチェックしたら「ブレードランナー」のリドリー・スコットであったので納得した。現場の情報をしっかりと把握しないで、それでいて適当な判断で状況を悪化させ、しかも責任を取ろうとしないホワイト・カラー的な上司と、現場での人間関係を密に構築させ、信頼関係でもって情報を獲得し、冷静な分析と果敢な行動力で問題の解決に近づく部下といった対立構図は、CIAというスパイ稼業も、サラリーマン的な組織ヒエラルキーで多大なるストレスを受けているという組織人なんだな、と思わせる点で、サラリーマンや役人には大いに共感できるストーリーだと思われる。ラッセル・クロウ演じる上司のキャラクターが、アメリカの国際社会における独断的な愚行を暗示しているようにも思える。そうすると、レオナルド・ディカプリオは、馬鹿な政府の元で真摯に頑張るアメリカ人という暗示か。アメリカという組織は駄目だが、アメリカ人という個人は頑張っているんだ、というメッセージとして捉えられる気もする。映画のエンディングもなかなか後味がよく、良心的な映画であると思われた。レオナルド・ディカプリオにも好感が持てる。美味しい役だ。

それはともかくとして、なんで「ボディー・オブ・ライズ」が邦題では「ワールド・オブ・ライズ」になってしまったのだろうか。「ボディー・オブ・ライズ」というのはブッシュ政権時のネオコンのように、嘘を戦略的につく組織を指す時に使う。この映画の場合は、CIAのことを指すと考えられるが、そうすると「ワールド・オブ・ライズ」というのは訳として間違っているのではないだろうか。まあ、確かに嘘をお互い付き合うということを描いていることを考えると「ワールド・オブ・ライズ」という邦題も多少、理解できなくもないが、それはこの映画が本質的に言いたいことを外しているとも言えるのではないだろうか。というのは、この映画が言いたいことは、CIAのような嘘を戦略として展開する組織で働くことは、仕事に忠誠心を持っている人にとってもきつい、ということなのではないか、と思うからである。

あと、この映画でディカプリオの看病をする看護婦を演じたイラン人女優、ゴルシフテ・ファラハニは相当の美人であった。イラン人にも、こういう美しい人がいるということを周知させた効果は結構、大きいのではないだろうか。


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