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夕張に行き、巨大な闇を垣間見る。 [サステイナブルな問題]

夕張に行った。夕張の現状は私の想定を越えていた。夕張は決して、石炭産業が衰退したために破綻した訳ではないし、産業が完全になくなった訳ではない。例えば、夕張メロンの農家などは日本の平均の農家より、はるかに豊かであると思われる。しっかりと地に足をつけて農業を営んでいる。じゃあ、何が問題なのか。その問題の片鱗は、夕張岳の麓のシュウパロ湖に行くとかいま見られる。シュウパロ湖は夕張ダムをつくったことで造られた人造湖である。そこに、さらに大きなダムをつくろうと現在、工事中である。道路も現在よりさらに高いところに造られており、随分と高さのある橋桁が何本も建っている。随分と費用がかかるであろう巨大公共事業がここで今、展開中なのである。なんでも、この公共事業は小泉元首相のお墨付きのようである。

夕張を破綻させたのが、市役所による公共事業の暴走であることは明らかである。夕張の市役所のある本町には、まあ、趣味の悪いラブホテルのような都市施設から構成される景観が広がっている。その趣味の悪い都市景観のほとんどは公共事業によってつくられたものである。そこには、その風土に合わないような遊園地があり、ループのあるジェットコースターや観覧車までもがつくられている。公共事業が暴走し、借金を重ねたことが夕張の破綻の原因であり、それは石炭産業が衰退したこととは基本的には関係がない。そして、メロン農家のように農業は、むしろ他の地域より健全なのである。このような酷い経験をしたにも関わらず、マスコミなどがおそらく訪問しない夕張の裏側では、依然として金の無駄遣いとしか思われないような国の巨大公共事業が進んでいるのである。結局、公共事業という麻薬漬けの状態から夕張は抜け出せないでいるのだ。例え、破綻しようと麻薬を絶つことができないという現状。私は寒気と果てしない絶望を感じたのである。夕張を再生するというシンポジウムに私は出席し、発言などもしていたのだが、とても自分の力ではとうてい及ばない、巨大な闇を私は夕張で見てしまった。

絶望というほどではないが失望したのは、夕張のホテルや観光施設のぼったくり体質である。ホテルは隣の岩見沢に比べてはるかに高く、サービスは悪い。今時、ホテル内の自動販売機で値段を2割増ししている(例えば120円を150円)ところなど相当珍しいのではないか。仕方がないので隣のコンビニに買い出しに行った。リピーター確保を無視し、来たものから取りあえずかっぱぐという体質は、どのような経緯で培われたのか不明だが、それが破綻の延長線上にあるように思えてならない。夕張では、よさこい祭りの大会のようなものがちょうど私が宿泊していた時に行われていたのだが、そのイベント会場も前売り券を買わせて、善意で夕張に来た若者などから商店街がぼったくっていた。これは、私も唖然とさせられた。破産したので、それに同情した人達からも貪りとる。まさに恩を仇で返す行為である。まあ、松山千春のような太っ腹でなければ、好い加減な善意で同情などすると酷い目に合うということを知った方がいいであろう。随分と、目を覚まされた夕張行きであった。


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