SSブログ

スーパーおやじの痛快まちづくり [都市デザイン]

今更ながらであるが、早稲田の名物商店会会長で現在、衆議院議員の安井潤一郎氏の1999年の著書を読む。もっと早く読んでおけよな、と自分で突っ込みたくなる面白い本であった。早稲田の商店街のおっさんが、人とのネットワークを活かし、斬新なアイデアと行動力で、商店街に元気をもたらしていく。それは、まさに痛快な物語である。さて、この本を読んで、何を思い浮かべたかというと、ブラジルの都市クリチバである。クリチバでも、1970年代からレルネル市長を中心として斬新なアイデアと行動力で多くの都市的課題を解決していった。そして、環境問題を突破口にしたというのも共通している。環境問題という皆が共有するが、どちらかというと関与したくないテーマにインセンティブを付加することで、問題解決の動きを創り出す。さらに、どうも楽しんで取り組んでいる、ということも共通している。

ただし、その主体が行政であるか、民間の集まりであるか、という違いはある。安井氏は行政主体の街づくりで成功したものは一つもないという。私は、クリチバをはじめとしてバーリントンやチャールストンといった行政主体の街づくりの成功事例を研究しているので、そこまで言い切れるかどうかは疑問である。しかし、日本の行政は住民視線での街づくりは下手であるということは言えるかもしれない。日本の道路行政とかは、依然として住民の便益とかを度外視した事業を推進しているからね。まあ、地域住民を配慮できない街づくりしか行えず、信頼ができない行政が街づくりをするくらいなら、住民が実施した方がいいであろう。海外でもアメリカのチャタヌーガやオーストラリアのマレーニなどは、まさに住民主体で街づくりを実現できている。同様に、早稲田も商店街というミクロなレベルであるが、大いなる成果を得ている。こういう事業の成功事例を知ると、21世紀は決して暗くないなと思う。とはいえ、確かにもっと早く読んでおくべき本であった。自分の怠慢さにちょっと自己嫌悪する。


nice!(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 0