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モールオブアメリカ [都市デザイン]

ミネアポリスのモールオブアメリカを視察する。3年ぶりである。真ん中にあるキャンプ・スヌーピーというテーマパークは、スヌーピーを使ってはいけないと訴えられ、ただの遊園地になってしまっていた。このモールオブアメリカの何が楽しいのか、魅力があるのか私には理解がしにくいが、飛行機に乗ってわざわざ来る人がいるほどの観光地にまでなっている。商業空間としては、サンフランシスコのギラデリーやキャナリーの方がよほど魅力的だし、ボルティモアのハーバープレイスやボストンのファニュエル・ホールの方がアメニティに富んでいて好みである。これらの空間はパブリックな雰囲気をもっているし、空間への帰属意識をもたらすようなデザイン上の工夫が為されていたり、周辺の景観等を借景として用いていたりするのとは対照的に、モールオブアメリカは閉じられた空間であり、完全に外部環境から遮断されている。そのプライベート感が私は何しろ嫌なのである。

そのような私に対して、まさに飛んで火にいる虫のごとく、マイクと名乗るセキュリティー・ガードが詰問してきた。にこにこしながら、「いろいろと訪問者の意見を聞いたりしているんです」とか言って、一眼レフのカメラでばしばし撮影している東アジアのおっさんにチェックを入れにきたのである。私は結構、頭に来たので、「君こそ出身地はどこなんだ」、「この仕事で時給いくら貰っているんだ」とか反対に質問攻撃をしてやった。そして、「何がしたいのか、回りくどいことをせずに言え」と言ったら、「身分証明書を見せて欲しい」と言ってきたので、日本語の身分証明書を見せた。というか、パスポートなんて持って歩いていないから、これしかなかったんだけど。マイクは、東アジアのおじさんのおそらく想定外の反撃にたじたじしていた。「あまり意味はなかったですね」とか表はへらへら笑いながら、おそらく本心は嫌な奴だ、と思っていたのではないだろうか。そそくさと退散していった。マイクは仕事なんで、あそこまで厳しくしなくてもよかったのだが、私はこういうショッピングセンターのようないかにも公的っぽい空間を演出していながら、用がない人を排除する徹底的に差別的な管理が心底気に入らないので、思わずいじめてしまったのである。マイクは、そういう公的空間、私的空間など、空間の社会性などに対しての問題意識はないだろうから、ちょっと地雷を踏んでしまったようなものである。まあ、しかしよりによって私に聞かなくてもよかったのに。同行してくれていたミネソタ大学の学生もちょっと驚いたようであった。

モールオブアメリカは3階建て(一部は4階建て)で、全部をみるために3周した。いい運動ではあった。アンカーテナントはシアーズ、ノードストローム、マーシャルフィールド、メーシーの4つである。敷地面積は31.6ha、延床面積は38.7ha、売場面積は23ha。開業時期は1992年。当時は北米最大であったが、エドモントン・モールに抜かれている。年間来訪者数は4000万人らしい。まあ凄まじい数字ではある。


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