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『そして私たちは愛に帰る』 [映画批評]

トルコ系ドイツ人映画監督ファティ・アキンの『そして私たちは愛にかえる』を観る。イタリア系映画のような、ペーソスに溢れた人生劇である。優秀な息子とダメな親爺、ドイツとトルコで離れ離れで暮らす売春婦の母親と反政治活動に身を投じている娘、そしてオープンな世界観を擁するドイツ人の母親と娘。この三者三様の片親と親子が、お互い関係することで大きく、彼ら・彼女らの人生は展開していく。それは、悲劇的ではあるが、その悲劇が展開する過程でこれら他人が知り合うことで観ている側は救われる。違う国籍、違う価値観の人々が交錯することで、無情にも人が死んでしまうという理不尽の中でも、人は明日に希みを持つことができるような印象を観る者に与える。ラストシーンの静かな映像は百の言葉より多くのことを語る。


そして、私たちは愛に帰る [DVD]

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  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
  • 発売日: 2012/03/10
  • メディア: DVD



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