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ドナルド・トランプとエヴァンジェリカル(キリスト教福音主義)との不思議な関係 [トランプのアメリカ]

ドナルド・トランプが共和党の大統領候補にほぼ選ばれそうである。これだけ嘘だらけで、裁判でも有罪判決が為されているトランプを支持するアメリカ人がある程度の割合いる、というアメリカ合衆国という国は本当、不思議だと思うが、そのうちの大きな票田がキリスト教福音主義である。アメリカ人の24%がキリスト教福音主義であるので、ここを押さえることで選挙は極めて有利に展開する。
キリスト教福音主義の多くは共和党主義者であるが、教会に週に一回は行く信者の73%は共和党で、まったく教会に行かない信者の48%が共和党というデータがあり、より信仰心が強い人ほど共和党を強く支持する傾向がある。
 そして、キリスト教福音主義の白人で共和党支持者のうち55%がトランプを共和党の大統領候補として投票するとピュー研究所が2023年秋に実施した取材調査で回答した。
 さて、これまで不思議であったのは、なぜキリスト教福音主義がトランプのような悪党を支持するのか、ということであった。しかし、筆を進める前に、ここでキリスト教福音主義を整理しておく。福音派は、『聖書』とは「神の霊感」によって書かれたもので、その内容は一字一句すべて誤りのない神の言葉であると信じている人たちである。ただし、ドイツとアメリカではちょっと考え方は異なっており、ここではアメリカの原理主義なキリスト教主義である福音主義について述べる。このアメリカのキリスト教福音主義の主な信条は、家族が大切であること、同性婚反対、妊娠中絶反対、国家への忠誠心などである。さらには、勤勉さを重視しているので、低所得者への福祉対策などには反対する。
 さて、そこでトランプであるが、彼は離婚も二回しているし、不倫も多くするし、ポルノ女優と関係を持った後、口止め料を払ったりしたことも暴露されていて、とても家族が大切であるとは思わない。デパートの着替え室で女性をレイプした事件は有罪判決が下されたりして、なんと後者はその罰金は8000万ドル(80億円)である。他にも国家への忠誠心などないことは1月6日の内乱を引き起こしたことからも明らかであろう。現在でも、係争中の案件も多くあり、どうみてもキリスト教の価値観と相容れない筈だ。確かに妊娠中絶を違法とする乱暴な法律を通す基盤をつくったりした功績はあるが、それだけで支持をするか、というのが何とも不思議であったのだが、最近、出た福音主義の牧師の息子ティム・アルバータが書いた本『The Kingdom, the Power, and the Glory: American Evangelicals in an Age of Extremism』に相当、ヒントがあることが分かった。
それは、まず福音主義者の人達はアメリカが神の国であると思っている。そして、その神の国は「Barbarian(訳の分からない言語を話す者)」が門の前までやってきており、そいつらを入れさせないために守護神が必要だと考えられているそうだ。そして、これは、選挙公報にも使われているが、そこで神が遣わしたのがトランプだそうだ。そして、トランプがいかにも下品で、偽物のように見えるのは、それは信仰心が試されているからであり、トランプが今、裁判などで酷い目に遭わされているのは、イエス・キリストが受けた迫害のようなものであり、マスコミ等に騙されてはいかねいと思っているからだそうだ。
 いやはや、彼らの心情は分かったような気にはなっていたが、それはヒットラーを信じたドイツ人や天皇陛下が神であったと思った日本人と同じか、それ以下だろう。というのは、我々は残念だけど、天皇陛下は神じゃない、と発言しただけで「不敬罪」で牢屋に入れられたから、思わざるを得なかったところがあるだろう。しかし、アメリカ人は喜んで自分から、この神の正反対の悪魔、というか、あれだけ誹謗中傷、レイプやりまくりの天国に行くことは100%ないトランプを支持しているのは、悪いけれどもこれはもはやキリスト教福音主義という宗教の崩壊である。というか、単なるカルトに堕してしまっている。とはいえ、今までの不思議さは多少は解明されたので、ちょっとブログに共有させてもらう。

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