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ベルリンは知れば知るほどケッタイな都市である [地球探訪記]

ベルリンは知れば知るほどケッタイな都市だ。まずドイツ最大の大都市でありながら、東ベルリンと西ベルリンとが人為的に分けられ、その後、人為的に統合されたために中心がふたつある。また、東西ベルリンは政治制度も経済システムも異なっていたために、都市の空間的特徴、建築物にも違いが見られる。
 いや、その前に一つのベルリンの時代があったではないか、と指摘されるかもしれないが、第二次世界大戦でベルリンは徹底的に破壊される。そして、どうにか爆撃を回避できた建物も特に旧東ドイツではその後、倒壊され、新たな建物がつくられた。
 こういうことを書くと、いやいや、結構、古い建物が残っているじゃないか、とまた指摘されるかもしれないが、それらは統一後に新たに作り直されたものが少なくない。ベルリン州オペラ劇場、シャーロッテンブルク宮殿、ゲンダルメン広場、ベルリン・パレス、ベーベル広場、旧司令官の家(Alte Kommandantur)などベルリンの歴史を語るような風格のある建物は皆、戦後、つくりなおされたものである。
 また、ベルリンは確かに大都市ではあるのだが、大都市圏は決して大きくない。例えば、ベルリン市とパリ市の市域人口を比較すると、343万人と214人でベルリンの方が1.5倍ぐらい大きいが、大都市圏で比較すると401万人と1253万人とでパリの方が3倍も大きくなる。このような特徴はアレキサンダー広場に立つテレビ塔の上にある展望台から都市を眺めると分かる。ベルリンの周辺でちょっとは人口集積があるのは南西にあるポツダム市ぐらいで、それでも人口は18万人程度である。したがって、展望台からでも市域の境界が分かる。これはベルリンがグリーンベルトを設けているということもあるのだが、市街地の先には緑が広がっていることが目で確認できるからだ。東京の例えば新宿都庁の展望台からの、ずっと市街地が延々に広がっていくような光景とは全く異なる。
 あと、ベルリンはドイツっぽくない都市。パリがフランスっぽいのや、ロンドンがイギリスっぽいのとは全然、異なる。これをドイツ人に言うと、ドイツの本当の都はウィーンだ、と言い返す人もいた。確かにウィーンはドイツ文化の香りがする。ベルリンはベートーベンもバッハもモーツァルト(オーストリア生まれだけど)の響きがまったくしない。食事の名物もカレー・ヴァースト(カレー・ソーセージ)って、どれだけ食生活、貧しいんだよ、という感じである。ドイツ自慢のビールもドイツ平均よりずっと低いし。これは、ドイツ人とかに言わせると、ベルリンは「プロシアの都」であって、ドイツの都ではない、と言う。確かにプロシアの都であるし、そもそも、元を辿ればスラブの都でもある。プロシアは軍事優先政策をとったので、そういう文化の蓄積が他の都市(例えば、ドレスデンやミュンヘンなど)のようにされなかったのであろう。ヴィルヘルム皇帝とかもフランス大好きだったし。
 ベルリンには世界遺産が4つはある。凄い数だ。しかし、それらの多くがほぼ残念、世界遺産であり、日本からわざわざ観光する価値があるものは、よほどその方面に関心がなければないであろう。観光的な価値でも例えばウィーンに比べると大きく劣る。
 まあ、ぼろくそ書いている気がしないでもないが、まだ、しばらくこの都市で暮らすので、気づいていない新たな魅力を発見することができるかもしれない。とりあえず、3ヶ月弱暮らしてのベルリンの印象をここに記させてもらう。

タグ:ベルリン
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