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『ディア・ハンター』 [映画批評]

1978年の映画。ペンシルヴェニアのロシア系移民の若者がベトナム戦争に行き、まったく人生が暗転しまう、という戦争の悲惨さを描いた映画。ロバート・デニーロが主演であるが、強烈な印象を与えるのはむしろ、デニーロの友人のクリストファー・ウォーケンと、若い時は相当の美貌だったんだということを改めて印象づけたメリル・ストリープである。
 さて、そのクリストファー・ウォーケンの印象的なシーンはロシアン・ルーレットをするところだが、このロシアン・ルーレットが行われたという事実はない、という。そういう意味では、相当ベトナム戦争が歪められて描いているかな、と思われるが、そもそもベトナム戦争を映画で取り上げたという点では強く評価できる。
 戦争の悲惨さを描いたという点では、アメリカ人に自分達の戦争に向き合わせるという役割を果たしたことは評価できるが、ロシアがウクライナに侵攻して両国の戦争をしている状況では、こういう映画を観ても辛い。ロシア人もしっかりとこういう映画で、もう少し、戦争の悲惨さとかを理解できていればよかったのに、もしかしたら観られないようになっているのかもしれない。ロシアのプーチンも、アメリカのトランプも民衆が馬鹿だからああいう指導者が現れる。アメリカ人も『ディア・ハンター』を観て、トランプに投票するような人は少ないだろうから、まあ、せっかくこういう作品にアクセスできてもアクセスしないとまったく意味が無いということだろう。改めて、映画や小説などの重要さを知る。
 さて、この映画を観ていて非常に不思議だったのは、ペンシルヴェニアの若者達が鹿狩りに行く山々が、まったくもってアメリカ東部にはない風景だったことだ。こんな山々はロッキー山脈とかでないとないよな、と思って調べたらワシントン州の山々だそうだ。まあ、確かにオリンピック山地とかの風景を彷彿とさせる。
 あと、このまったくもって悲惨なストーリーの映画に素晴らしい叙情性を与えているのは、主題曲のCavatinaである。この曲は、この映画に芸術性を付加することに著しく貢献している。


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