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ウクライナ人難民とミャンマー人難民との違い [グローバルな問題]

東京新聞を読んでいる。最近、同新聞では、ウクライナの戦争難民に対する措置が、ミャンマー人の亡命者よりも寛容であり、不平等だと主張する記事が掲載されたり、読者の声が載せられたりする。確かにミャンマー人からすれば、ウクライナ人のように対応してくれ、と言いたい気持ちは分かる。しかし、ウクライナの戦争難民とミャンマーの難民とには違いがある。ウクライナの戦争難民は内乱ではなく、ロシアからの極めて理不尽な侵攻によって生じている。これは、ウクライナの難民を守るだけでなく、ロシアの暴虐を許さない立場を国際的に示すためにも、通常時より遙かにハードルを低くしなくてはいけない。また、NATOやアメリカとも協調しなくてはならない非常事態である。CNNでは、この日本の対応を素晴らしいと報道していたが、国際関係的にもこのような迅速に対応をするべきような事態であったのだ。
 ミャンマー人がむしろ比較すべきはロシア人である。ロシア人も表現の自由が制限され、圧政が続いている。ミャンマーの軍事政権ほど派手な虐殺事件は起きてはいないが、実際は相当のロシア人が殺されているであろう。そして、実際、ロシア人の国外脱出が相当数、起きている。しかし、日本はロシア人の亡命者に対しては、相当、ハードルが高くて厳しい。ミャンマー人の方がロシア人よりは酷い状況に置かれていると指摘されるかもしれないが、そういう比較では、ウクライナ人の方がミャンマー人より喫緊性の高い酷い状況に置かれている。
 そのような緊急事態に、それまで放っておかれた世論を喚起するような主張をすることはウクライナへの支援という体制づくりにはマイナスであるし、それによってミャンマー人がメリットになることはないだろう。事態が落ち着いてから主張すべきことであって、火事が起きている時に、建材を木材から鉄筋にすべきだ、というような主張は逆に説得力を失う。今は、何しろ火事を鎮火させることを優先すべきである。
 こういうのは、おそらく一般性の誤謬の一つに含まれるのではないかなと思ったりもする。

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