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「おみおくりの作法」(スティル・ライフ) [映画批評]

イタリア人の監督、ウベルト・バゾリーニによるイギリス映画。孤独死をした人の近親者を捜すのを仕事とするロンドンの公務員が主人公である。近親者や知り合いを探し出しても、葬儀には参加しないと断られることが多く、労多くして功少なしといった仕事を続けている。ただ、主人公はこれら孤独死をした人の葬儀をしっかりと行い、見送る人が彼一人だけでもそれをやり通していた。しかし、役所の業務効率化の名の下にいきなり解雇を通知される。そして、最後の孤独死をした人の近親者を捜す旅に出かけるのだが・・・。主人公の落ち着いた演技、そして映像や音楽の美しさ。92分という短い映画なのだが、映画の時間がそのまま、この主人公や孤独死をした人達の人生の積み重ねを物語るような、穏やかではあるが静謐、そして寂しく空虚ではあるが敬虔な気持ちを起こさせるようなものとなっている。映画の素晴らしさを再確認させてくれるような傑作であると思う。往年のイタリア映画のペーソスに溢れるが、それがイギリスを舞台にしているために、独特の奥深い味わいをこの作品にもたらしている。

Still Life (2013) [Italian Edition]

Still Life (2013) [Italian Edition]

  • 出版社/メーカー: BIM
  • 発売日: 2014/05/22
  • メディア: DVD



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