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曽野綾子の産経新聞での差別発言は、欧米であれば社会的に100%抹殺される自爆発言だ [グローバルな問題]

右翼作家である曽野綾子の発言が物議を醸していることは知っていたが、その中身は知らなかった。ちょっと気になって調べたら、私の想像を越えた差別発言であることを知って驚愕した。

それは2月11日の産経新聞のコラムであった。
「もう20〜30年も前に南アフリカ共和国の実情を知って以来、私は、居住区だけは、白人、アジア人、黒人というふうに分けて住む方がいい、と思うようになった。」

さらに、「南アフリカでアパルトヘイト(人種隔離政策)の撤廃後、白人専用だったマンションに黒人家族が一族を呼び寄せたため、水が足りなくなり共同生活が破綻し、白人が逃げ出したという例を出し、「人間は事業も研究も運動も何もかも一緒にやれる。しかし居住だけは別にした方がいい」」と締めくくっている。

このような発言を欧米ですれば、まず社会的には100%抹殺される自爆発言である。私は、曽野綾子のような考えを一ミリも持っていないが、持っていたとしても絶対、公に言わない。完全な言い逃れのできない「人種差別者(Racist)」として社会的に抹殺されるからである。右翼発言は許容されるが、人種差別発言は許されない。そもそも、50年前ならいざしらず、現代において白人、アジア人、黒人と人類を分類できると考える遺物のような思考回路に愕然とする。例えば、私が関心を抱いているアメリカのプロ・バスケットボールの選手の多くは混血である。アメリカのプロ・ゴルフ選手のタイガー・ウッズは母親がタイ人、父親はアフリカ系アメリカ人であるが、彼はどちらに住んだらいいのだろうか。

そもそも、「白人専用だったマンションに黒人家族が一族を呼び寄せたため、水が足りなくなり共同生活が破綻し・・・」というのは、論理的でもない。黒人の方が白人より水を多く使うのであろうか。アメリカでもこのような事例は多く指摘されているが、多くは地上げをしたい不動産業者が、そこに以前から住んでいた白人を追い出して土地を安く取得するためというケースが多い(ここらへんは文献等に多く紹介されている)。また、上記の場合は、黒人より先にユダヤ人が入って、白人を郊外に追い出したというケースも多くみられた。あたかも、黒人を嫌って白人が逃げた、という書き方をしているが、別に当時の白人が嫌ったのは黒人だけでなく、同じ白人のユダヤ人やアジア人も含まれている。しかし、このような話も50年以上も前の話だ。確かに今でも人種差別的意識を持っている人がいないわけではない。そのような人が、自分と似た属性の人(この場合は、むしろ肌の色の違いよりかは収入であったりするが)と住みたがる傾向があるのは確かだ。金持ちが世田谷区の岡本とかに住みたがっても足立区の北綾瀬に住みたがらないようなものだ。これは、収入はまだ分かるが、肌の色は昔と違って、そのような人達を嫌った回避行動を取ろうとしても、取ることが難しいほど、現実社会は人種の混交が進んでいるからだ。

曽野綾子のこの発言は、そのような現実社会を的確に捉えていない一昔前の愚かなる考えを相変わらず引きずっていて、恥ずかしいが、それだけでなく、このように差別的な思考を本人が持っていることを露呈したことで、人間としても最低であることを我々に知らしめた。

私は高校時代、曽野綾子の「太郎物語」などを喜んで読んでいたりしたが、こんな人であったこと、そして、そんな恥ずかしい考えを平気で晒せる愚かで情がない人と知って、本当に悲しいし、腹立たしい気分にさせられた。

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