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二子玉川の商店街は、まるでディズニーランドのようにマーケティング戦略で漂白されていた [都市デザイン]

二子玉川の商店街を訪れる。二子玉川にある立体駐車場ビルと高島屋の間にある商店街は、とてもお洒落である。テナント・ミックス的にも計算され尽くされているような印象を受ける。普通の商店街は、商店が結構、ばらばらで一枚岩ではなく、協働することは難しい。特に、テナント・ミックスを意識した商店を構成することは至難の業である。なぜなら、各商店主は自分がやりたいこと、自分が得意なことで店を経営したいと当然ながら思うからであり、別に商店街のために店を経営している訳ではない。不足している商店があったとしても、だからといって自分がその店を経営しようとは普通、思わないからである。

このような問題点を是正するために、例えば、アムステルダム市では市役所がテナント・ミックスを指導している。これは市場経済を無視した私などは、横暴なのではないかと思ったりもするが、まあ、そこまでしないと需要と供給がマッチしないという側面はあるのではないかと思ったりする。少なくとも短期的にはそうだし、都内のように地価が高いところだと、そうそう進退が簡単でもないので、大きな問題となる。

さて、そういうことを踏まえると、二子玉川の状況は驚くべきことだ。しかし、それには理由があった。というのは、この高島屋と駐車場の間の商店街の土地の多くは、高島屋が買収しているからである。つまり、高島屋は高島屋ショッピング・センターの建物だけでなく、周辺の土地までも商店街という趣を呈しているが、高島屋の延長として管理しているのだ。その戦略の真意は分からないが、二子玉川のイメージを向上させるために、高島屋という商業ビルだけでなく、周辺の地域までも高島屋のクオリティを実現させようという狙いがおそらくあるのだろう。

確かに、二子玉川の商店街はその結果、とても洗練されていて、同じように民間企業がテナント・コントロールをしている丸の内の仲通り、六本木ヒルズなどと同じようなお洒落感を有している。しかし、そのお洒落感には、ちょっと鼻白むようなものを同時に感じさせる。確かに、空間的にはヒューマン・スケールで懐かしさを感じさせてくれる。ただし、そこに出店しているお店は、皆、高島屋のお墨付きというかフィルターを通しているものなので、多様性に欠如がみられるのだ。コンラン・ショップのようなセレクト・ショップは、コンランのテイストを求める消費者の需要にマッチした商品を提供するという効用がある。二子玉川の商店街は、高島屋がコンラン・ショップのように、テナントをセレクトしているのかもしれないが、コンラン・ショップと異なるのは、二子玉川の住民は商店街をセレクトできないからである。つまり、コンラン・ショップはその店が気に入らない人は他の店に行けばいいだけであるが、二子玉川の商店街の場合は、高島屋テイストが好きな人にとってはとても望ましいかもしれないが、そうでない人にとってはとても住みづらくなると思うのである。まあ、それじゃあ引っ越せばいいと思う人がいるかもしれないが、住宅を購入してしまった人にとって引っ越しはそうそう簡単にできる訳ではない。

アムステルダムのように自治体がテナント・ミックスの管理をすることにも強く抵抗を覚える私であるが、民間企業がそれをすることにはさらなる抵抗を覚えてしまう。都市の魅力を創出するのは、やはり多様性と混乱にあると思うからである。

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