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セミナーのコーディネーターを務めて、勉強することについていろいろと考える [その他]

先週、東京フォーラムでセミナーを開催した。パネル・ディスカッションも行った。パネリストは早稲田大学の若林先生、東京大学の大月先生、そして読売広告社都市生活研究所所長の榎本氏。私はコーディネーターという役を務めさせてもらった。私はコーディネーターがあまり上手くない。昨年も、あるセミナーでコーディネーターをさせてもらったのだが、パネリストの三浦展氏から「もうちょっとしゃべりを勉強した方がいいよ」というアドバイスをもらったり、またセミナーのアンケートでも「コーディナーターが下手」などの意見をもらったりする始末である。ということで、今回もちょっと心配がないわけではなかったのだが、私の関心があるテーマということもあって、うまくできたかはともかく、結構、個人的には楽しめた。

よくよく考えると、私が郊外論を勉強したのは、Dolores HaydenやPeter Calthorpe、さらにはLewis Mumfordなどアメリカの論客によるものが中心であったが、その後、30代半ば以降は、前述した三浦氏が上司となったこともあり、三浦氏に文献を読み、また彼から多くの薫陶を受けた。私は、彼と知り合う前から「大いなる迷走」を読んで、感銘を覚えていたので、彼の下で働くことになった時は喜んだものである。その後も三浦氏の出す本はほとんど読んでいる。

さて、しかし、私が郊外論で影響を強く受けたのは、三浦氏だけではない。三浦氏以外の筆頭が、若林氏であった。私は若林氏著、もしくは編著の『東京スタディーズ』、『郊外の社会学』、『熱い都市・冷たい都市』、『郊外と現代社会』などを若い時に読んだ。また、若林氏がこれらの著書で引用した本、『リバースエッジ』、『空中庭園』などはすぐ購入して、今では郊外論を考えるうえでのバイブルのように私も講義やエッセイ等で引用させてもらっている。15年くらい前に、東京都の講演会で彼と一緒に講演をさせてもらった時は、本当、緊張した。若林氏のような正統派の学者と私のようなどこの馬とも知らないものが、同じ立ち位置で講演するということに、自分自身が違和感を感じたことを今でも鮮明に記憶している。

それから15年経ち、再び若林氏とセミナーを一緒に行うことができた。この15年間で、若林氏の足下には到底及ばないが、私も少しは研究成果を出すことができ、学会賞ももらったりして、なんちゃって大学教授として多少は認められつつあるような気もしないでもない。ということで15年前に比べると、今回は、多少はいろいろとお話もできたりした。とはいえ、相変わらず圧倒的な知識量の差に愕然としない訳ではない。このような差は一生、埋まるものではないだろうが、少しでも近づけるように勉強するしかないな、と思ったりもする。他人との差を意識して落ち込むのではなく、自分を少しでも高めるために勉強をする、ということを50歳以降も続けることが重要なのではないかと思う。こういうことを意識できることが不惑を迎えるということなのかもしれない。


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郊外の社会学―現代を生きる形 (ちくま新書)

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