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リニアについて適当に考察する [サステイナブルな問題]

 JR東海が、東京と名古屋を40分で結ぶリニアモーターカーの最終案を発表した。ほぼ直線だ。全都県に駅を一つずつつくるという、相変わらずの自民党的な整備案ではあるが、まあ、これらの停車駅は、新幹線が通るぐらいの影響は享受されるであろう。まあ、それがプラスかマイナスかは分からないが、おそらく、その影響の大小は運賃によって異なるであろう。たとえば、新幹線並みの運賃で乗車できるようであれば、甲府市、飯田市などからリニア通勤する人が増えるであろう。そういう意味では、名古屋から通勤する人も増えるかもしれないし、逆に東京に住んで名古屋に通うという人は現状より遙かに増えるであろう。しかし、それも運賃による。運賃が高ければ、東京湾横断道路のように利用者が限定されるという事態も想定される。
 さて、もう一つ気になるのは、交通手段の速度4倍の法則である。これは、既存の交通手段の4倍の速度のものは普及するが、2倍程度だと普及はしないという経験則だ。ちょっと具体例で説明したい。
*徒歩の速度は、大体時速3キロぐらいである(不動産業界は距離を短くしたいので時速4.8キロにしているが、これほど普通、速く歩かない)。
*自転車の速度は、速いと18キロぐらいだったりするが、ママチャリだと大体12キロぐらいである。
*次に自動車だが、これは一般道路だと時速40キロぐらいであるが、まあ国道等だと48キロぐらいでは走行できる。高速道路だと100キロぐらいだ。
*列車も地下鉄だと30キロ、JRの普通・快速列車だと30キロから90キロ。新幹線だと200キロぐらいになる。
*飛行機だと時速800キロ程度である。
 このように現在、多く利用されている交通手段である徒歩、自転車、自動車(地下鉄・普通列車)、新幹線、飛行機は、3:12:48:192:768というように、距離が4倍になると遅い交通手段と競合しないで、新たなる交通マーケットを確保できるということが理解できるかと思われる。
 これは、なぜコンコルドが失敗したのかや、バスや路面電車の利用率が低いのか、ということを説明することにも使えるし、キックボードが自転車のように普及しないことも説明できるかもしれない。いや、説明するというほどの論理的バックグランドがあるわけではなく、ただの経験論であるにすぎないのだが、たとえば、飛行機より速い交通手段を普及させようとしたら、一挙に4倍は速くならないとなかなか市場を獲得できないのではないかとも推察したりもする。
 さて、そしてそのような経験則で、このリニアを考えると、時速500キロというのがいかにも中途半端である。飛行機並みであれば、結構、利用者も増えたかもしれないが、現行の新幹線の2倍程度。品川駅で地下40メートルをもぐらなくてはならないこと(これに9分はかかるらしい)や、ほとんど地下鉄状況で景色も見られないことなどを考えると、敢えてリニアを使う必然性があるのか。いや、これは本当に運賃によるが、運賃が1.5倍程度であっても新幹線を使うような気がする。もちろん、相模原市の人は名古屋に行くのに新幹線よりリニアを使うかもしれないが、私のように品川駅より新横浜駅の方が近いものは、新幹線を使い続けるであろう。そもそも、新横浜から名古屋まで行く間は、コンピューターで仕事をしているので、ほとんど時間を無駄にしたと思ったことや、退屈だなと思ったことはない。
 東京ー名古屋間の現行の2時間が1時間に短縮する効果は、たとえば東京ー大阪間を6時間30分から3時間10分に短縮した新幹線の効果に比べてもそれほど大きくないであろう。3時間以上の短縮と1時間の短縮とでは、割合は同じかもしれないが、その効果には相当、大きな差があるように思われる。
 最近、どうも新しいニュースに関しては、何につけ難癖をつけているような気がして我ながら嫌らしいとは思うが、どうもオリンピックといいリニアといい、世間が盛り上がっている事柄に関して、否定的な見解を持ってしまう。




タグ:リニア
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