トニー・バンクス『Curious Feeling』 [ロック音楽]
1979年のトニー・バンクスのソロデビュー作。当時は、ジェネシスはデュークを出した直後で、マイケル・ラザフォードが「スモールクリープス・デイ」という素晴らしいソロ作品を出し、またフィル・コリンズが「フェイス・ヴァリュー」というヒットはしたが、それまでのジェネシス・ファンが眉間にしわを寄せるような違和感を覚えさせる作品を出し、遂に「ジェネシスはトニー・バンクス」とジェネシスのマネージャーを長年務めたTony Smithに言わせしめる真打ち。ということだが、多少、ポップであるのと、ジェネシスにはつきもののフィル・コリンズの紡ぎ出すビート感はないが、情緒感溢れる、まさにプログレ界のドビュッシーとでもいうべき、素晴らしい音世界を展開させる佳作となっている。私がジェネシスを大好きな理由はいくつもあるが、そのうちの大きなものとしては、このトニー・バンクスがつくりだす情緒溢れる、イマジネーションを拡張させる音世界を愛しているからだろうな、ということを再確認させてくれる。トリック・オブ・テイルからデュークスの期間のジェネシスが好きな人であれば、まさにマスト・バイのアルバムです。