SSブログ

社会学者は「個人によって違う」という回答をしないらしい [その他]

オランダで開催された社会学者ばかりの会議に、一人参加している。しかも、日本人は私だけで、他はアメリカ人、オランダ人、ドイツ人、中国人である。日本の大学からの参加者はもう一名いるが韓国人の留学生である。まあ、専門的にも人種的にも場所的にもアウェー感が強烈な状況での会議であったわけだが、そこでオランダ人の学生が「東京の下北沢の商店街のオーナーは社会環境の変化にどのように対応しているのか」と尋ねてきたので、「それは個人によって違う(It depends on individuals)」と回答したら、知人の社会学者に後で怒られた。それは社会学者としては、極めて不適切な回答であるようなのだ。私は戸惑って、「じゃあどう回答すればよかったのでしょうか?」と聞くと、「その場合は、対応によって大きく3つのグループに分類されます。Aグループは積極的に変化に対応しようとして成功するもの、Bグループは積極的に変化に対応しようとするが失敗するもの、Cグループは変化に対応しようとしないもの。このように一般化して回答することが重要です」と言われた。ふうん、そうなのか。勉強になる。納得している私に畳み込むように、「社会学は一般化する学問なのです」と教えてくれた。隣で聞いている別の社会学者も「そうそう」と頷いている。この社会学者は「Human Nature」も答えてはいけない言葉であると教えてくれた。この回答をすると社会学の講義では単位をもらえないそうである。そういう回答をしたければ、心理学を勉強しなくてはならないそうだ。いろいろと知識は増えたし、社会学の思考プロセスも理解できたのだが、ちょっとだけ本質的ではないなとも思ったりもした。とはいえ、この会議では、彼らの思考回路に合わせないと話が進まない。

タグ:社会学者
nice!(0) 

nice! 0