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ゴールデンステート・ウォリアーズの快進撃が止まらない [スポーツ]

私はNBAのゴールデンステート・ウォリアーズのファンである。1992年のバルセロナ・オリンピックでアメリカのバスケットボール代表はドリーム・チームを結成した。マイケル・ジョーダン、マジック・ジョンソン、ラリー・バード、チャールス・バークレイ、デビッド・ロビンソン、パトリック・ユーイングという、まさに「夢のチーム」で余裕の金メダルを取ったのである。決勝も127対80という冗談のような数字であった。さて、私もこのドリーム・チームでご多分に漏れず、NBAに興味を持ち、ビデオなどを購入してチェックをした。その翌年から私は3年間、アメリカのサンフランシスコ(正確にはバークレイ)で過ごすことになるのだが、当然、本場のNBA を見れることに心躍らせた。そして、どこを応援するかを考えたのだが、どうせ応援するのであれば地元がいいだろうとゴールデンステート・ウォリアーズのファンになることにしたのである。当時のゴールデンステート・ウォリアーズは、ミッチ・リッチモンド、ティム・ハーダウェイ、クリス・ムリンのいわゆるRUN TMCトリオで売り出し中で、ラン・エンド・ガンの超攻撃的なスタイルに私は嵌ったのである。さて、しかし、ゴールデンステート・ウォリアーズは私が応援し始めた時から、瓦解をし始める。まず、ミッチ・リッチモンドがビル・オーエンズとかいうどこの馬の骨と思われる輩とトレードされる(これは、その後、ゴールデンステート・ウォリアーズのお株ともいえる、生え抜きのスターと実績のない新人トレードをして失敗を繰り返す、の先駆けであった)。落ち込む私は、しかし、次の年のドラフトでクリス・ウェバーを獲得したことで、一気に夢が膨らむ。しかし、翌年、クリス・ウェバーはこんなチームではやってられないとか言って、ワシントン・ウィザード(当時はブーレッツか)にトレード志願して実現させてしまう。まあ、その後のことはちょっと省略するが、それからゴールデンステート・ウォリアーズは、2007年に一度プレイオフに出た以外は、20年近くまったくプレイオフとも縁がないような状況が続いたのである。ウェバーが出て行った1994年以降、そもそも5割を越えた年も2度しかなく、勝率が3割に満たない年も3回もあるような最弱なチームになってしまったのである。特に2000年は17勝65敗(勝率 .207)というような駄目ぶりであったのである。

そのウォリアーズの今シーズンの成績は既に21勝10敗である。これは西地区で5位に相当する成績であり、2007年以来のプレイオフも現実味を帯びている。ウォリアーズは年内に21勝したのであるが、これは30年ぶりの快挙なのである。それでは、なぜ、このように急に強くなったのであろうか。

去年と同じ選手は、パワー・フォワードのリー、ポイント・ガードのカリー、シューティング・ガードのトンプソンの3人である。センターのエジリとスモール・フォワードのバーンズは新人である。新人がスーパーの活躍をしているかというと、そういう訳ではなく、ドラフト7番目のバーンズもルーキー・ファースト・チームに入るほどの活躍はしていない。しかも、去年まで文句なしのスター・プレイヤーであったモンタ・エリスを放出して獲得したセンターのアンドレ・ボーグは怪我で4試合しか出ていないし、ペリメター・ディフェンスがチーム内で一番優れているラッシュはアキレス腱の怪我で今期絶望となっている。去年に比べてもエリスとラッシュのマイナス分を新人のスターターで補えているとはとても言えない。それなのに去年に比べて段違いに強くなっている。それでは、どうしてそんなに強くなったのであろうか。以下のような理由が考えられる。
1)控えの大幅な改善。
ラッシュが戦線離脱したのは痛いが、ホーネッツから来たジャックとランドリーの活躍が素晴らしい。ジャックはリーダーとしてもチームをまとめてくれている。この二人の加入はウォリアーズにメンタル面におけるタフさも加えてくれている。ジャックがこの間のシクサースとの試合で、前ウォリアーズのライトが試合中に脱げた靴を観客席に放り込むなどの行為は、それまでのウォリアーズにはないタフさを象徴している。
(画像つき記事)
http://www.sbnation.com/nba/2012/12/29/3814394/jarrett-jack-shoe-dorell-wright-warriors-vs-sixers
2)モンタ・エリスの不在
エリスはそれまでのウォリアーズにおいて、圧倒的なスターであったが、彼がいなくなったことで、ボール・ハンドリングはカレーがすることになった。そしてカレーの才能が大幅に開花されている。これは去年のトンプソンにも見られたことであるが、カレーそしてトンプソンという、素晴らしいシューティング能力のあるガード・コンビがエリス不在で見事にその類い希なる能力が発揮されたのである。エリスは確かにスピード・スターでど派手なプレイが多いが、フィールドゴール率は悪いし、シュートを打ちすぎる。そして、他の選手を活かそうとしない。そしてディフェンスはザルである。エリスという絶対的なエースがいなくなったことで、ウォリアーズの残りのメンバーの能力が上がり、そしてディフェンス力まで上がったのである。
3)マーク・ジャクソン
初めてコーチをしたマーク・ジャクソンは、去年はその能力が未知数であったこともあり、結構、マスコミ等でもバッシングを受けていたりしたが、彼のコーチとしての能力の高さはもう誰も疑わないほど認められつつあると思う。あの辛口のコメンテーターであるチャールス・バークレーもレイカースのダントーニ監督はジャクソンを見習うべきであると言っていたぐらいだ。年間最優秀監督候補の最右翼にもなっているジャクソンが、ウォリアーズを大きく変身させたのは間違いない。
4)メンタリティの変化
そして、何よりも去年までとウォリアーズが違うのはメンタルの変化ではないだろうか。エリスというエゴイストがいなくなったことで、皆、フォア・ザ・チームの意識が徹底されているのを感じる。これはジャクソンの手綱が素晴らしいからかもしれないが、ディフェンス力の大幅なる改善や、試合終盤においての集中力などは、試合の取り組み方が変わったからこそ出来るようになったことなのではないかと思われる。

まあ、他にもカレーが健康であることなど挙げられるが、いやはや、長年、駄目な組織が急に強く、優秀な組織に変貌した一つのケースとしても非常にウォリアーズの快進撃は興味深いと思われる。これで、ボーグが健康になって試合に戻ってきたら、相当、強くなるんではないか、と期待をしている。今シーズンは本当に楽しみである。
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