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イチローに関する週間ポストの的外れな記事 [スポーツ]

 イチローがヤンキースにトレードされ、ピンストライプに袖を通して彼がプレイしたのは8月14日で20試合となる。この20試合での通算打率は0.271。彼の生涯打率の0.322よりは大幅にダウンしているが、ほぼ去年並みではある。この20試合では、彼自身の一試合での打点記録である5を8月10日に達成するなど、だんだんと調子が上がっているとも思えるが、次からは二試合連続で先発を外されるなど、これまで経験したことのない厳しい状況にも置かれている。
 さて、しかし、私は屈折しているかもしれないが、ちょっとこの状況を嬉しいと思ったりする。なぜなら、私はおそらく根源的にイチローの大ファンであると思うのだが、これまではイチローは勝手に活躍してくれるので、応援する甲斐がほとんどなかったが、今は応援する甲斐があるからだ。頑張って欲しい、との気持ちが思わず入る。悔しいのは、イチローがマリナーズであったら、素直に応援できたのだが、あのメジャー・リーグの巨人であるニューヨーク・ヤンキースにトレードされてしまったことだ。ここで、同じプレイオフ・チームであるサンフランシスコ・ジャイアンツにトレードされたら、私は本当に熱烈なる応援ができたのにと思うと残念過ぎる。プレイオフに進出したら、思わず、試合にも行ってしまったぐらい応援したい気持ちが湧いてきたであろう。しかし、チームは糞だが、それでも私はイチローを応援する。ということで、時間があるときにはイチローをフォローしている。
 
 アメリカのメディアはイチローのことを客観的に分析していると思われる。例えば、ヤフー・スポーツのレイ・モネルは、出塁率の低さを気にしている。しかし、この数字は最近の試合で上がってきているので、おそらく8番から1番、もしくは2番に上がることになるだろうと推測している。すると、イチロー、ジーターもしくはジーター、イチローというラインナップになる。これは、ヤンキース嫌いの私でもちょっとわくわくするくらいであるから、ヤンキース・ファンであるなら堪らないのではないか、と思う。オール・スター戦のようだ。
http://sports.yahoo.com/news/ichiro-suzuki-heating-yankees-155300713--mlb.html

 また、イチローの人に関しても興味深い記事が紹介され始めている。ウォール・ストリート・ジャーナルのダニエル・バーバリシの記事では、イチローはニュース・レポーターと距離を取っているが、実はこのレポーターの名前を覚えたり、また、彼らの存在は自分にとっても大変有り難い、と言っていること、またレポーターの方でも、自分たちは歴史の証人である、との自覚をもって仕事に取り組んでいるなどと考えていることが紹介されている。このようなイチロー像は私も知らなかった。サッカーの中田とは全然、違う。やっぱりイチローは中田に比べて、はるかにスーパースターであるなと改めて認識する。
http://online.wsj.com/article/SB10000872396390443537404577581302151165514.html

違うという点では、ウォール・ストリート・ジャーナルの記事に比べた日本の記事のレベルの低さである。いや、もちろん、しっかりしたメディアもあるのだが、特に駄目だなと思わせられるのは「週間ポスト」である。「イチロー シーズン終了時にはNYから放出とMLB評論家が指摘」との刺激的なタイトルでの記事だが、一部、ホームページにアーカイブが載っているので、ちょっと引用、紹介させてもらう。
http://www.news-postseven.com/archives/20120731_133798.html

以下、引用
 入団会見でイチローは「左翼を守った経験もある」と殊勝な姿勢を見せ、スポーツ紙はヤンキースタジアムの広い左中間を紹介しつつ、「今度はエリア31(※)ができる」と持ち上げる。だが、「レーザービーム」と称される強肩に絶対の自信を持つイチローにとって、「守備が苦手で肩に不安がある選手の指定席」とされる左翼に押し込められ、“ライパチ以下”の「レフパチ」に甘んじることは屈辱以外の何ものでもないだろう。
 さらにいえば、「正左翼手」の立場さえも期間限定だという。MLB評論家・福島良一氏が語る。
「高齢化が著しいヤンキースにとって38歳のイチローは補強候補の対象外。それでも獲得したのは、昨季盗塁王を獲得した28歳の正左翼手・ガードナーが肘の故障で今季絶望となったからで、イチローはあくまで彼のスペア。ガードナーの復帰時期次第ですが、基本的にはシーズン終了をもって放出されるでしょう」

引用終わり

イチローは今季が終わればフリーエージェントである。フリーエージェントであるから、シアトルはチーム史上、ケン・グリッフィー・ジュニア、エドガー・マルティネス、ジェイ・ブーナーとしか比較できないイチローを敢えてトレードに出した訳である。じゃなければ、シーズン途中でトレードに出すわけないだろう。すなわち、基本的にシーズン終了をもって放出される、というのではなく、シーズン終了をもって、また契約をし直す、ということになるので、そもそも放出される、という表現はおかしい。引き留めたくてもチームには、その権利もない、というのが正しい状況であろう。マリナーズは、イチローを引き留めたくても、シーズン終了後にフリーエージェントになるので、それならば、プレイオフで勝ち続けたいチームにトレードした方が、まだ何か見返りがあるかと考えたのである。そして、また選手寿命もそう長くないイチローがワールドシリーズでプレイできる可能性の高いチームへのトレードを希望したというのも、マリナーズのトレードの後押しをしたのだ。また、彼はマリナーズが若手中心でチームを再建するのに、自分がトレードに出されるのはチームにとっていいであろうという判断もあった。
(http://sportsillustrated.cnn.com/2012/baseball/mlb/07/23/ichiro-to-yankees.ap/index.html)
 このような状況を知っていれば、この週間ポストの記事の記者がメジャー・リーグのフリーエージェントの状況も知らないほど無知なのか、もしくは意図的にイチローのイメージを悪いものにしようとしているとしか思えない三流の内容であることが分かるであろう。

さらに、同記事ではイチローはスウィッシャーの控えであるとのコメントを紹介している。引用する。

「ヤ軍の正右翼手はスウィッシャー。イチローの守備は優れているが、右翼専門のスウィッシャーにコンバートを求めるほどの価値はない。マ軍戦はライトスタンドに詰めかけたイチローファンへのサービスだ。
 日本のメディアは“ライト・1番”を期待するだろうが、ニューヨークに戻れば“レフト・8番”が彼の役割だ」(米紙コラムニスト)

 一方で、来期は、スウィッシャーよりイチローと契約すべきだとのコメントがある(http://bleacherreport.com/articles/1286109-new-york-yankees-could-ichiro-suzuki-end-up-as-the-right-fielder-in-2013)。スウィッシャーも来期フリーエージェントであるのだが、スウィッシャーよりイチローの方がコスト・パフォーマンスはいいだろう、との記事である。要するに、前述したイチローは放出される、とのコメントが週間ポストの記事でなされたが、同じレベルでスウィッシャーも「放出」されるのである。このブリーチャー・レポートのコメントでは、スウィッシャーの方がイチローよりかはパワーがあるが、イチローの方が守備はいいと述べられている。そして、スウィッシャーのパワーがなくなるのは痛いが、カノ、グランダーソン、テイシェイラ、ロドリゲスがいるから大丈夫であろうとも述べている。もちろん、キャッシュマンの最終的な判断は今後の成績をみてされるであろうとまとめられているが、まあ、イチローが駄目だから「放出」されるのではないことは明らかである。
 
 しかし、こういう記事が出されると、私のイチロー応援熱も高まるから、それはそれで楽しい。あと、参考までにイチロー以外の外野手の打率は次の通りである。スウィッシャー0.264(HR15本)、グランダーソン0.239(HR30本)、イバネース0.250(HR15本)。打率だけ考えれば、イチローの収まり具合は全然、悪くないのだ。
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