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ドイツが原発を怖れる理由 [原発問題]

ドイツは親日家が多い国である。フクシマ原発の事故の際も、最も日本の状況を心配してくれた国なのではないかと思う。そして、フクシマ原発の事故に最も過敏に世論が反応した国である。その理由の一つには、「日本のようにしっかりとした国で原爆が管理できなければ、他の国でできる訳がない」ということがある。事実、最近でもフランスの原発で爆発事故が起きた。幸い、放射能は漏れていないもようであるが、フクシマ原発の事故は、今後、世界各地で原発事故が起きることの前兆であると思われる。ドイツの判断は賢明であると考えられよう。

もう一つは、チェルノブイリの事故の経験があるからだ。事故当時、ドイツのある病院に入院していた知人がいる。日本人の方だ。チェルノブイリの事故があった時、その病院で生まれた新生児2000人のうち9人が奇形児であったそうだ。その病院で働いていた医者は、それが極めて異常なことである、と私の知人に教えたそうだ。チェルノブイリの事故がなければ、そのような数字はなかったであろう、と言ったのである。2000人に9人というのは200人に1人弱。0.5%以下である。このような低い割合は、統計的にみると有意性が見出しにくく、統計的にはチェルノブイリの事故の影響とは必ずしもいえない、という結論が導かれてしまう。しかし、現場の医者などは、それが異常値であることを理解する。単なる偶然か、チェルノブイリが誘発した数字の高さか。答えは生き延びようと考える直感では明確だ。

チェルノブイリの事故後、ドイツが採った政策は、食べ物の安全性を徹底的に検証して、情報公開をしたことである。なぜ、これが日本で出来ないのか。ドイツ人にはまったく不可解なようである。まあ、しかし、そう問われる私も、不可解なので答えようがない。また、年取った芸能人が福島産の食べ物を頬張って安全性をアピールするのもなぜだと質問される。しかし、それも答えられない。東京電力か政治家に頼まれているんじゃあないでしょうか、という何とも歯切れの悪いいい加減な回答しかできない。

ただ、ドイツにきて分かったのは、親日家のなかにも、日本はどうも国民はともかくとして、政府や政治、そしてマスコミは国民のことをしっかり考えもしない怪しげな国であるというイメージをもたれつつあることだ。まあ、二流国、三流国といったイメージであろうか。しかし、よくよく考えると、この国が国民のことをしっかりと考えたことが今まであったであろうか。やりたくもない戦争を仕掛け、若い人達を特攻隊として玉砕させた。その力を持つ者が弱者を迫害、いじめる構図はあの敗戦を経ても、バブルという狂乱を経ても、まったく変わっていないということをフクシマ原発の事故、そしてその後の対応は明らかにした。私はドイツが立派な国だとは全然、思えないが、国民を守ることのできる政治家を選挙で選び、政治家そして政府が国民の安全を守ろうとする、という点に関しては日本より遙かに秀でていると思ってしまう。ドイツでは二世議員が地盤を引き継ぐことが禁止されているのは勿論のこと、他の選挙区で出馬してもよほど優秀でない限り、選挙には選ばれないそうだ。日本のように二世議員やマスコミで顔を売っている、本来的には政治の素人が政治家として選挙に選ばれるような事態はあり得ないそうだ。

まあ、政治が三流であり、政府が国民のことをまったく考えないような国においては、原発を運転させることが大変、危険であるということを理解した方がいいことをドイツで思う。
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