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福島第一原発の事件で、日本が世界からエンガチョされている [グローバルな問題]

 福島第一原発の事件から2週間経ってアメリカを訪れた。西海岸である。地震や津波に関しては、極めて同情的であったアメリカ人であるが、福島第一原発の事件、そしてその後の対応、放射能物質のアメリカへの飛散、さらにまだ問題が収束できていないことで、結構、苛立ちが募っている印象を受ける。
 私の従兄弟はロスアンジェルスに住んでいて、昼食をしながらいろいろと話を聞いたりしたのだが、彼女の周りでも、もう日本食のレストランには行かないといっているものが多数いるそうだ。ロスアンジェルスの日本食レストランで日本の食材を使うようなところは、あったとしてもよほどの高級店だけだと思うのだが、もうイメージの問題で行かなくなっているようだ。同じことは、日本をイメージさせる食料などにもいえるようで、もう世界的に日本エンガチョ状態になりつつあることを感じる。地震、津波だけならむしろ大いに援助したいという気持ちにもなったのであろうが、その後の原発で、もう近寄りたくないバイ菌君のようなイメージができてしまいつつある。
 まあ、こういうことは日本人であっても、水俣病の後の水俣市民を差別(例えば、出身が水俣市というだけで、水俣病でなくても縁談を断られるなどはよくあったことである)したりするし、実際、原発事件が韓国で起きたりしたら、似たようなリアクションを日本人なんかはむしろ率先して取りそうなので、アメリカ人に敬遠されてしまうのは致し方ないとは思うのだが、それにしても、これは国際的な信用力の失墜と同時に、経済的には底知れぬダメージだなと思うのである。ある意味で第二次世界大戦以来の、国際的な格の失墜である。
 帰りの飛行機はがらがらで、「ようこそ、日本」などと国際観光のプロモーションに多大なる税金を投入したのに、それも全部ぶっとんでしまうほどの経済的な損失を被ってもいるだろう。そして、当分の間、日本には行きたくないな、と世界中の人が思うであろう。私もウクライナとかスリーマイルのあったペンシルヴェニア州とかは好んで行きたいとは全然思わないからな。私のアメリカ人の友人も4月に観光で日本に行く航空券を買っていたのだが、キャンセルしてベトナムに行くことにした。
 本当、今回の福島第一原発の事件での日本経済へのマイナスのインパクトは計り知れないものがある。電力をふんだんに使いたい、という気持ちは分からなくもないが、そのような生活を続けることのリスクを再考する時期に来ているのかもしれない。この事件を単なる事故として片付けずに、これを機に新しい省エネ型のライフスタイル、もしくはエネルギー自立型の社会システムを構築することを模索する・・・それくらいのことをしないと、国際的な信用の失墜は回復することができないであろう。それは、おそらく私が生きている間で出来るような簡単なことではない。しかし、この事故を単なる天災として捉え、相も変わらず、原発依存を続けるような国策に拘泥していると、本当に世界からまったく相手にされなくなる、もしくは、お灸を据えられることになるような気がする。原発事故を起こすということはドメスティックな問題では収まるものではなく、国際的な立ち位置を非常に悪くする、信頼を損なう、そしてその信頼回復にはとてつもない努力と真摯な気持ちが必要であるのだな、ということをアメリカに来て理解させられた。そして、その努力、真摯な気持ちというのは経産省、東京電力という原発を管理・運営している組織には、まことに残念ながら、まったく欠如しているものなのである。
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