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ロスアンジェルスの通勤事情 [サステイナブルな問題]

 留学生がロスアンジェルスの通勤事情を講義で発表した。興味深いので、ここに公開させてもらう。まず、16歳以上の通勤者数は442万3725人である。そのうち、72%は一人で運転する車で通勤する。11.9%はカープールをする。そして、わずか7%だけが通勤で公共交通を利用する。
 しかも、公共交通を利用する65%は白人ではない人達であり、そのうち、70%がヒスパニックである。そして、76%の利用者の年収が2万5千ドル以下である。要するに、非白人で貧乏人が公共交通を利用している。
 公共交通のうち1990年に開通した地下鉄の利用者は1.1%。まあ、延長117キロであるので、それほど多くはないことも理解できる。バスはちょっと多く5.9%である。ちなみに自転車も0.6%ほどいる。
 ロスアンジェルスは学術的には興味深い大都市圏である。個人的には自分が育った街であるが、あまり興味がない。将来のことを考えると悪夢のような街であるし、都市としての魅力がほとんどないからである。ロスアンジェルスでそのまま高校、大学まで行っていたとしても、おそらくまともに育っていたら街を去っていたであろう。生活文化は消費的だし、何しろ自動車を運転しないとどうにもならない生活環境は、将来のエネルギー危機を考えると危険すぎるからだ。
 しかし、どうも日本の地方都市はロスアンジェルス的な生活環境を志向しているように思える。自動車で移動しないと生活が成り立たないというのは、決して豊かではなく貧しさを地方にもたらす。イオンで買い物をするというのは、地元の消費力を吸い上げられるということであるにも関わらず、多くの自治体がイオンを誘致しようとするのは、トロイの木馬のたとえ話と似ている。ロスアンジェルスの多くの地域コミュニティが崩壊しているのは、自動車社会が進展した帰結なのである。
 ロスアンジェルスの状態を他山の石として、同じ轍を踏まないことが日本の都市においては重要なことだと思われる。

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