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Bプランの変更過程を聞く [都市デザイン]

友人の都市計画家がBプランの変更の仕事をしているので、そのプロセスを聞く。これはアイゼンヒュッテンシュタット市の混在用途地区のもので、オリジナルは1991年に策定された。Bプランのスケールは1000分の1である。しかし、このスケールは必ずしも決まっているものではなく、500分の1,250分の1の場合もあり得る。ただし、250分の1だと詳細過ぎるので、問題が多いとも思われる。Bプランは共同体法である。法律であるから変わる。ということで、Bプランの改定というのは法律の変更という行為になる訳である。Bプランをつくるうえで必要となるのはBagGBというBプランの法律書で、これがバイブルである。
このBプランをみると25のサインがしてある。これは、このBプランの改訂などが行われる際に、各部署の責任者がサインをするからである。これらのサインの後で市長の確認のサインがされる。市長は25回もサインをさせられる訳だ。

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(これが改訂中のBプランの図面。スケールは1000分の1。真ん中の赤い住宅地の部分に問題があることが判明した)

今回、Bプランを変更しなくてはらならなくなった経緯は、現行のBプランである土地で住宅開発可能地として指定されていた土地の一部が、土壌汚染がされている可能性があるとの指摘を受けたことである。そのため、この土壌が汚染されたかどうかを検査した。この検査は市役所内ではなく、外部の民間企業が委託して行った。その結果、土壌は汚染されていないことは判明した。しかし、新たな問題がみつかったのである。というのは、この土地にはオデール川の砂利が敷かれていたのだが、これは家を建てるうえでは極めて不安定であり不適切であったためである。ということで、この砂利の下の層まで杭を打たなくてはならないのだが、そのような高額を払うことはその土地では不適である。ということで、住宅開発可能地としての土地利用を変更しなくてはならなくなった。そして、問題がある場所から、住宅を建てられるとの指定を解除したのである。

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(これが現地の写真)

これは非常に小さなプランの変更だけなので、変更プランを策定したあと、36の部署のチェックを受ける。この部署には県や州も含まれる。これらのチェックをする部署は、文句があればレターを送ってくる。例えばオデール・スプリー県は「詳細な情報をくれ」と要求してきた。一方でブランデンブルク州の森林局などは「問題がない」と回答してきている。敢えて、返答する必要はないが、友人は確認を求めるようにしているそうだ。すなわち、返事が来ていない部署に確認してもらっているかを問い合わせたりしている。プランのチェックを受けた後は、住民に閲覧する機会を与える。これは法律では最低4週間の閲覧と決まっているのだが、私の友人は余裕をもって5週間閲覧できるようにするようだ。これは、苦情を持っている人が閲覧し損ねる確率を少しでも少なくしようとする配慮からである。この住民からの手紙、質問等の整理に関しては、外注に委託をしているそうである。これは業務効率化を図るためである。ただし、何を言ってきたのかに対して、その対応は友人が判断している。

これらを含めて60頁くらいの報告書を作成し、まずは市の都市計画委員会に提出して審議してもらう。問題がなければ市議会に提出して、決定を得る。たまに変えろといってくるが、そうしたらそれに対応する。このプロセスはドイツ全国に共通しているそうだ。

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