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2ヶ月ぶりにコペンハーゲンのアルバーツラントを訪れる [都市デザイン]

11月末に行ったばかりだが、再びデンマークに来ている。熱帯のインドネシアからいきなり氷点下のデンマークである。私の身体も大変だ。まだ下痢も治っていないというのに。コペンハーゲンに来たのは世界的な都市デザイナーであるヤン・ゲールに会うためだが、その前日に再びアルバーツラントを訪れる。前回はノーアポであったが、今回は事前にアポが入っている。とはいえ、私がアポを入れたわけではなく、日本からの視察に便乗させてもらっただけなのだ。なぜ、便乗させてもらったかというと、前回のアルバーツラントに関して記したブログを読んだ人から問い合わせがあり、私のノーアポ取材に対応してくれた市役所の職員を紹介したという経緯があるからである。

さて、事前にアポを入れただけあって、とても丁寧な説明を受けた。アルバーツラントで興味深いのは、自転車専用ネットワークも勿論であるが、そのニュータウンの設計を自治体の都市計画課の職員達が行ったことである。日本の場合は、住宅都市整備公団という都市計画のプロフェッショナルが国内のニュータウン整備を手がけた。自治体の職員が設計するのは能力的にも難しいという考えが前提にあったと思われる。しかし、ここデンマークでは各自治体が勝手に計画を策定したそうだ。中央政府からガイドラインは出されたようだが、その内容は鉄道駅を中心に持ってくるとかそういったレベルのものであったようだ。そう言われると、確かに、町ごとにニュータウンのコンセプトが違う。時代的なものかとも思ったが、どうもそうではないようだ。ちなみにアルバーツラントのコンセプトは徹底した低層で、二階建て以上の建物がほとんど見られない。庭付きで住宅の床面積が100㎡の一階建ての集合住宅が主流パターンである。壁を共有し、全般的にこぢんまりとした印象を受ける。色遣いもシンプルながら統一されていて、レゴの国の住宅といったイメージである。

しかし、このような計画を自治体ごとにつくれてしまうというのは、凄まじい都市計画の能力である。どうもデンマークの自治体は、所得税も自治体は中央政府より多くの割合を得ることができるそうだ。地方分権が相当、進んでいるということだ。この地方自治体の独立性が、職員レベルの能力を高めている背景にあることは間違いない。インドネシアとは真逆である。そして、もちろんしっかりとルールは守り、正直である。ホテルのバーで軽くビールを飲んだのだが、その会計の際に、余計に請求していないかウェイターがチェックをした。余計に取られるのではと疑心暗鬼になっている国にいたこともあり、驚きだ。このような国民性が、しっかりとした都市計画を実践している背景にあることは間違いないと思う。いや、いろいろと考えさせられる。

一通りの説明を受けた後、自転車で市内を巡る。興味深かったのは、小学校に自転車で来る児童が9割ぐらいを占めるために、通学時はラッシュアワーになること。そのために、時差通学を実施したそうである。自転車というとオランダが有名であるが、いやいや、デンマークもなかなかのものである。自転車ハイウェイという自転車専用道路(歩行者も通れる)を15キロメートル離れたコペンハーゲンと整備しよう計画している。現在でも、アルバーツラントからコペンハーゲンに自転車通勤する人は結構、多いようだ。

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(市内を縦横に走る自転車専用道路)

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(通学時にはラッシュアワーが生じるので時差通学制度を導入した小学校)

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(この小学生の9割が自転車で通学しているそうだ。校舎の前には自転車が駐輪されている)

9月、11月、1月と二月に一回ペースでコペンハーゲンに来たが、来る度にこの国に惹かれていく気がする。この国は確かに、何か特別なものを有していると思われる。

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